hit、beat、strike は、どれも日本語では「打つ」「たたく」と訳されることのある単語です。
ところが英語では、この3語がさまざまな名詞と組み合わさることで、もともとの「打つ」からは想像しにくい意味になることがあります。
たとえば、hit the books は「本を打つ」ではなく「勉強する」、strike a balance は「バランスを打つ」ではなく「バランスをとる」という意味です。
今回は、hit・beat・strike を使った覚えておきたい定番表現を、基本イメージと結びつけながら見ていきましょう。
なお、3語そのものの使い分けについては、関連記事「hit・beat・strike の違い ―「打つ」の英語表現を使い分けよう」で詳しく紹介しています。
- まずは3語の基本イメージを確認
- hit the nail on the head ― 核心を突く
- hit the road ― 出発する
- hit the books ― 勉強する
- hit the ground running ― 最初から全力で取りかかる
- beat the drum ― 太鼓を打ち鳴らす
- beat eggs ― 卵をかき混ぜる
- beat against ~ ― ~に打ちつける
- beat someone ― 相手を打ち負かす
- beat a record ― 記録を破る
- strike a chord ― 心に響く・共感を呼ぶ
- strike a balance ― バランスをとる
- strike a pose ― ポーズをとる
- strike a bargain ― 取引を成立させる
- strike a blow ― 打撃を与える
- 覚えておきたい表現を一覧で確認
- ミニクイズ
- まとめ
まずは3語の基本イメージを確認
| 単語 | 基本イメージ | そこから広がる意味 |
|---|---|---|
| hit | 何かに当てる | 到達する、成功する、取りかかる |
| beat | 繰り返し打つ | かき混ぜる、打ち寄せる、打ち負かす |
| strike | 強く打つ | 印象を与える、成立させる、バランスをとる |
イディオムは丸暗記することもできますが、元の単語が持つイメージを知っていると、意味を思い出しやすくなります。
hit the nail on the head ― 核心を突く
hit the nail on the head は、「まさにその通り」「核心を突く」「図星を指す」という意味の定番表現です。
直訳すると「釘の頭を正確に打つ」。釘を正しい場所にぴたりと打つイメージから、物事の本質を正確に言い当てる意味になっています。
You hit the nail on the head.
訳:まさにその通りです。
相手の意見や指摘が的確だったときに使えます。「核心を突いている」というニュアンスです。
I think she hit the nail on the head when she said communication was the problem.
訳:問題はコミュニケーションだと彼女が言ったのは、まさに核心を突いていたと思います。
問題の原因を正確に言い当てたことを表しています。
hit the road ― 出発する
hit the road は、「出発する」「旅立つ」という口語的な表現です。
道路に出て移動を始めるイメージから、「さあ出発しよう」という意味で使われます。
It’s getting late. Let’s hit the road.
訳:遅くなってきました。そろそろ出発しましょう。
Let’s hit the road. は、旅行やドライブなどで「さあ行こう」と言いたいときにも使える表現です。
We need to hit the road early tomorrow morning.
訳:明日の朝は早く出発する必要があります。
単なる leave よりも、「さあ移動を始めるぞ」という口語的な響きがあります。
hit the books ― 勉強する
hit the books は、「一生懸命勉強する」「勉強に取りかかる」という意味です。
もちろん、本を実際にたたくわけではありません。
I have an exam tomorrow, so I need to hit the books tonight.
訳:明日は試験なので、今夜は勉強しなければなりません。
試験勉強など、本腰を入れて勉強するときによく使われる口語表現です。
study よりも、「さあ勉強に取りかかろう」「しっかり勉強しよう」という勢いを感じさせます。
hit the ground running ― 最初から全力で取りかかる
hit the ground running は、「最初から全力で取りかかる」「すぐに活動を軌道に乗せる」という意味です。
地面に着いた瞬間からすでに走っている、というイメージです。
She hit the ground running in her new job.
訳:彼女は新しい仕事で、最初から精力的に働き始めました。
新しい仕事やプロジェクトなどで、慣れるまでの時間をかけず、すぐに成果を出そうと動き始める場面で使われます。
beat the drum ― 太鼓を打ち鳴らす
beat の基本イメージは、「繰り返し打つ」です。
そのため、太鼓のように何度もたたいて音を出すものと相性のよい単語です。
He beat the drum loudly.
訳:彼は太鼓を大きな音で打ち鳴らしました。
一回だけたたくというより、繰り返し太鼓をたたいているイメージです。
beat eggs ― 卵をかき混ぜる
beat は料理でもよく使われます。
beat an egg や beat eggs で、「卵をかき混ぜる」「卵を溶く」という意味になります。
Beat the eggs well before adding the milk.
訳:牛乳を加える前に、卵をよくかき混ぜてください。
泡立て器などを繰り返し動かすことから、beat の「何度も打つ」というイメージにつながっています。
beat against ~ ― ~に打ちつける
波や雨などが、同じ場所に繰り返し当たる場合にも beat を使うことがあります。
The waves beat against the rocks.
訳:波が岩に激しく打ち寄せていました。
波が一度だけではなく、何度も岩に打ちつけている様子を表しています。
The rain beat against the windows all night.
訳:雨が一晩中、窓に激しく打ちつけていました。
雨粒が繰り返し窓に当たる様子にも beat が使えます。
beat someone ― 相手を打ち負かす
beat は「何度も打つ」という意味から発展して、「相手を負かす」という意味でも非常によく使われます。
We beat the other team 3–1.
訳:私たちは相手チームに3対1で勝ちました。
beat + 相手 で、「相手を負かす」という意味になります。
ここで注意したいのは、beat の目的語には「相手」が来るということです。
We beat them.
訳:私たちは彼らに勝ちました。
のように使います。
beat a record ― 記録を破る
「相手を打ち負かす」という意味から、記録などを上回る場合にも beat が使われます。
She beat the world record.
訳:彼女は世界記録を破りました。
それまでの記録を上回ったという意味です。
He is trying to beat his personal best.
訳:彼は自己ベストを更新しようとしています。
過去の自分の記録を「打ち負かす」というイメージです。
strike a chord ― 心に響く・共感を呼ぶ
strike には、名詞と組み合わせた興味深い表現がたくさんあります。
strike a chord は、「心に響く」「共感を呼ぶ」という意味です。
chord は音楽の「和音」です。弦などを鳴らして音を響かせるイメージから、人の心の中にある感情を響かせることを表すようになりました。
His story struck a chord with many people.
訳:彼の話は多くの人の心に響きました。
strike a chord with ~ で、「~の心に響く」「~の共感を呼ぶ」という意味になります。
Her words struck a chord with me.
訳:彼女の言葉は私の心に響きました。
自分の経験や気持ちと重なり、強く共感した場面で使えます。
strike a balance ― バランスをとる
strike a balance は、「バランスをとる」「両立させる」という非常によく使われる表現です。
We need to strike a balance between work and family life.
訳:仕事と家庭生活のバランスをとる必要があります。
between A and B と組み合わせて、「AとBのバランスをとる」という形がよく使われます。
It’s important to strike a balance between saving and spending.
訳:貯金と支出のバランスをとることが大切です。
どちらか一方に偏らず、ちょうどよいところを見つけるイメージです。
strike a pose ― ポーズをとる
strike a pose は、「ポーズをとる」という意味です。
She struck a pose for the camera.
訳:彼女はカメラに向かってポーズをとりました。
写真撮影などで、意識して特定の姿勢をとる場面に使われます。
strike の過去形は struck なので、過去の出来事では struck a pose となります。
strike a bargain ― 取引を成立させる
strike a bargain は、「取引を成立させる」「話をまとめる」「手を打つ」という意味です。
After a long discussion, they finally struck a bargain.
訳:長い話し合いの末、彼らはついに取引を成立させました。
交渉によって、お互いが受け入れられる条件で合意することを表します。
strike a blow ― 打撃を与える
strike a blow は、文字どおり「一撃を加える」という意味でも使えますが、比喩的に「打撃を与える」という意味でも使われます。
The decision struck a serious blow to the project.
訳:その決定はプロジェクトに深刻な打撃を与えました。
物理的に殴るのではなく、計画などに大きな損害や悪影響を与えることを表しています。
覚えておきたい表現を一覧で確認
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| hit the nail on the head | 核心を突く、まさにその通りである |
| hit the road | 出発する |
| hit the books | 一生懸命勉強する |
| hit the ground running | 最初から全力で取りかかる |
| beat eggs | 卵をかき混ぜる |
| beat against ~ | ~に繰り返し打ちつける |
| beat someone | 相手を負かす |
| beat a record | 記録を破る |
| strike a chord | 心に響く、共感を呼ぶ |
| strike a balance | バランスをとる、両立させる |
| strike a pose | ポーズをとる |
| strike a bargain | 取引を成立させる |
| strike a blow | 打撃を与える |
ミニクイズ
次の( )に入るもっとも自然な表現を考えてみましょう。
Q1. You really .
訳:あなたの言ったことは、まさに核心を突いています。
解説:hit the nail on the head は「核心を突く」「まさにその通り」という意味です。
Q2. I have a test tomorrow, so I need to tonight.
訳:明日はテストなので、今夜は勉強しなければなりません。
解説:hit the books は「本腰を入れて勉強する」という口語表現です。
Q3. She in the final.
訳:彼女は決勝で世界記録を破りました。
解説:beat a record で「記録を破る」という意味になります。
Q4. His speech with many people.
訳:彼のスピーチは多くの人の心に響きました。
解説:strike a chord with ~ は「~の心に響く」「~の共感を呼ぶ」という意味です。
Q5. We need to between work and rest.
訳:仕事と休息のバランスをとる必要があります。
解説:strike a balance between A and B で「AとBのバランスをとる」という意味です。
Q6. The model for the camera.
訳:そのモデルはカメラに向かってポーズをとりました。
解説:strike a pose は「ポーズをとる」という定番表現です。過去形なので struck になっています。
まとめ
hit・beat・strike は、基本的には「打つ」に関係する単語ですが、他の単語と組み合わさることで、さまざまな意味を表します。
hit the books の「勉強する」、beat a record の「記録を破る」、strike a chord の「心に響く」などは、単語を一語ずつ日本語に訳しても意味をつかみにくい表現です。
こうした表現は、一語ずつではなく、ひとまとまりのフレーズとして覚えることが大切です。
一方で、
hit = 当てる
beat = 繰り返し打つ・打ち負かす
strike = 強く打つ
という基本イメージを知っておくと、イディオムの意味にもつながりが見えてきます。
英語表現を覚えるときは、日本語訳だけを暗記するのではなく、単語がもともと持っているイメージにも注目してみましょう。