日本語の「打つ」は、とても幅広く使われる言葉です。
「ボールを打つ」「人を打つ」「太鼓を打つ」「強く打ちつける」など、同じ「打つ」でも、動作のしかたや目的によって意味が少しずつ違います。
英語では、代表的な単語として hit、beat、strike があります。
どれも「打つ」と訳されることがありますが、使われる場面やニュアンスは同じではありません。
今回は、hit・beat・strike の違いを、例文とともに整理してみましょう。
まずは3語の違いをざっくり確認
| 単語 | 中心となる意味 | イメージ |
|---|---|---|
| hit | 何かに当てる、ぶつける | 一回「ポン」と当たる |
| beat | 繰り返し打つ、打ち負かす | 何度も打つ |
| strike | 強く打つ、打ちつける | 強く・はっきり打つ |
まずは、次のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
hit = 当てる
beat = 繰り返し打つ
strike = 強く打つ
hit ― 何かに「当てる・ぶつける」
hit は、「何かが別のものに当たる」「何かを打って当てる」という意味で、日常会話でも非常によく使われます。
「打つ」というよりも、接触して当たることに注目している単語です。
He hit the ball with a bat.
訳:彼はバットでボールを打ちました。
バットをボールに当てる動作なので hit が自然です。
The car hit a tree.
訳:その車は木にぶつかりました。
hit は、人が何かを「打つ」だけでなく、「ぶつかる」という意味でも使われます。
I hit my head on the shelf.
訳:私は棚に頭をぶつけました。
頭が棚に当たったことを表しています。日本語では「ぶつける」と訳すほうが自然です。
hit は「一回当てる」感覚が基本
hit は、基本的には一度の接触や衝撃を表します。
She hit the table with her hand.
訳:彼女は手でテーブルをたたきました。
手をテーブルに一度打ちつけた、というイメージです。
ただし、文脈によっては繰り返し打つ行為にも使えます。大切なのは、「何かに当たる・当てる」ことが中心だという点です。
beat ― 繰り返し「打つ・たたく」
beat は、何かを何度も繰り返し打つ、たたくという意味で使われます。
hit が一回の接触を表しやすいのに対して、beat には繰り返しの動作というイメージがあります。
He beat the drum loudly.
訳:彼は太鼓を大きな音でたたきました。
太鼓を何度もたたいて音を出すので beat が自然です。
The rain beat against the window.
訳:雨が窓を激しく打ちつけていました。
雨粒が繰り返し窓に当たる様子を beat で表しています。
Her heart was beating fast.
訳:彼女の心臓は速く鼓動していました。
心臓が規則的に繰り返し動くことから、beat は「鼓動する」という意味でも使われます。
beat には「打ち負かす」という意味もある
beat には、「打つ」から発展して相手を打ち負かす、勝つという意味があります。
We beat the other team 3–1.
訳:私たちは相手チームに3対1で勝ちました。
この beat は「たたく」ではなく、「相手を負かす」という意味です。
スポーツや試合では、beat + 相手 の形で「相手に勝つ」という使い方が非常によくあります。
strike ― 強く、はっきり「打つ」
strike は、何かを強く打つ、打ちつけるという意味を持つ単語です。
hit よりもやや硬い表現で、強い衝撃や意図的な動作を感じさせることがあります。
He struck the ball hard.
訳:彼はボールを強く打ちました。
単にボールに当てたというよりも、強く打ったことに焦点があります。
The hammer struck the metal.
訳:ハンマーが金属を打ちました。
硬いもの同士が強くぶつかるような場面では strike がよく合います。
Lightning struck the tree.
訳:雷がその木に落ちました。
strike は雷が「打つ」ことから、「落雷する」という意味でも使われます。
strike の過去形は struck
strike は不規則動詞です。
strike → struck → struck
と変化します。
He struck the door with his fist.
訳:彼はこぶしでドアを強くたたきました。
struck は strike の過去形です。
hit と strike はどう違う?
hit と strike は、どちらも「打つ」と訳されるので、特に区別しておきたい組み合わせです。
He hit the ball.
訳:彼はボールを打ちました。
ボールに当てたという事実を普通に表しています。
He struck the ball with great force.
訳:彼はボールをものすごい力で打ちました。
強い力で打ったことを強調しているため、strike がよく合います。
つまり、
hit → 当たった・当てたことが中心
strike → 強く打ったことが中心
と考えるとわかりやすくなります。
hit と beat はどう違う?
hit と beat の大きな違いは、一回の動作か、繰り返しの動作かという点です。
He hit the drum once.
訳:彼は太鼓を一度たたきました。
一回だけ太鼓をたたいたので hit が自然です。
He beat the drum for several minutes.
訳:彼は数分間、太鼓をたたき続けました。
何度も繰り返したたいているので beat が自然です。
hit = 一回「ポン」
beat = 何度も「ドンドン」
というイメージを持つと、違いを覚えやすくなります。
strike には特有の表現もある
strike は「強く打つ」以外にも、決まった組み合わせで使われることがあります。
She struck a match.
訳:彼女はマッチを擦って火をつけました。
strike a match は「マッチを擦る・火をつける」という定番表現です。
The clock struck twelve.
訳:時計が12時を打ちました。
時計や鐘が時刻を知らせるために鳴る場合にも strike を使います。
このように、英語では日本語の「打つ」と必ずしも一対一で対応するわけではなく、決まった表現として覚えたほうがよい場合もあります。
3語の使い分けをもう一度整理
| こんなとき | 使う単語 | 例 |
|---|---|---|
| ボールを打つ | hit | hit the ball |
| 頭をぶつける | hit | hit my head |
| 太鼓を繰り返したたく | beat | beat the drum |
| 相手を打ち負かす | beat | beat the other team |
| 強く打つ | strike | strike the ball |
| 雷が落ちる | strike | lightning strikes |
| マッチを擦る | strike | strike a match |
ミニクイズ
次の( )に入るもっとも自然な単語を、hit・beat・strike から選んでみましょう。
Q1. He the ball with a bat.
訳:彼はバットでボールを打ちました。
解説:バットをボールに当てるという一般的な「打つ」なので hit が自然です。
Q2. He the drum for several minutes.
訳:彼は数分間、太鼓をたたき続けました。
解説:太鼓を何度も繰り返したたいているので beat が適しています。
Q3. Lightning the tree.
訳:雷がその木に落ちました。
解説:「雷が落ちる」は lightning strikes ~ と表します。文が過去形なので struck になります。
Q4. I my head on the door.
訳:私はドアに頭をぶつけました。
解説:頭がドアに当たったことを表しているので hit を使います。
Q5. Our team them 2–0.
訳:私たちのチームは彼らに2対0で勝ちました。
解説:試合で相手を「打ち負かす・負かす」という意味なので beat を使います。
Q6. She a match and lit the candle.
訳:彼女はマッチを擦って、ろうそくに火をつけました。
解説:「マッチを擦る」は strike a match という決まった表現です。過去形なので struck になります。
まとめ
「打つ」を表す hit・beat・strike は、動作のしかたに注目すると違いがわかりやすくなります。
- hit = 何かに当てる、ぶつける
- beat = 何度も繰り返し打つ、または相手を負かす
- strike = 強く、はっきり打つ
単純にボールを「打つ」なら hit、太鼓を何度も「たたく」なら beat、強く打ちつけるなら strike と考えるとよいでしょう。
hit = ポンと当てる
beat = ドンドン繰り返す
strike = ガツンと強く打つ
この3つのイメージを押さえておけば、日本語の「打つ」を場面に応じて自然に使い分けやすくなります。
hit・beat・strike を使った定番表現も覚えよう
hit・beat・strike は、「打つ」という基本的な意味だけでなく、ほかの単語と組み合わさることでさまざまな表現になります。
たとえば、hit the books は「勉強する」、beat a record は「記録を破る」、strike a chord は「心に響く」という意味です。
こうした定番表現については、次の記事で詳しく紹介しています。