日本語の「空の」「空いている」は、中に何も入っていない場合にも、人が使っていない部屋にも、何も書かれていない用紙にも使うことができます。
ところが英語では、「何がないのか」「どのような意味で空いているのか」によって使う単語が変わります。
代表的な表現には、empty、vacant、blank があります。
どれも日本語では「空の」「空いている」「何もない」などと訳せますが、それぞれ注目しているポイントは異なります。
今回は、empty・vacant・blank の違いを、例文とともに整理してみましょう。
まずは3語の違いをざっくり確認
| 単語 | 中心となる意味 | イメージ |
|---|---|---|
| empty | 中に何も入っていない | 内容物がない |
| vacant | 人が使っていない、空いている | 場所・席・職などが未使用 |
| blank | 文字・記入・表示がない | 空白になっている |
まずは、次のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
empty = 中身がない
vacant = 使用する人がいない
blank = 文字や情報がない
empty ― 中に何も入っていない「空の」
empty は、容器・部屋・場所などの中に、物や人が何もない状態を表すもっとも基本的な単語です。
The bottle is empty.
訳:そのボトルは空です。
ボトルの中に飲み物などが何も入っていないので empty が自然です。
The box was completely empty.
訳:その箱の中は完全に空でした。
箱の中に物が何も入っていないことを表しています。
The restaurant was almost empty.
訳:そのレストランにはほとんど人がいませんでした。
empty は容器だけでなく、場所に人がほとんどいない場合にも使えます。
empty は動詞にもなる
empty は形容詞の「空の」だけでなく、動詞として「空にする」「中身を出す」という意味でも使えます。
Please empty the trash can.
訳:ゴミ箱を空にしてください。
中に入っているものを取り出して空にする、という意味です。
vacant ― 人が使っていない「空いている」
vacant は、部屋・席・建物・土地・職などが、現在誰にも使われていない状態を表します。
empty が「中身がない」ことに注目するのに対し、vacant は使用する人・占有する人がいないことに注目します。
Is this seat vacant?
訳:この席は空いていますか。
誰かが使っている席かどうかを尋ねているので vacant が使えます。
There are several vacant rooms in the hotel.
訳:そのホテルには空いている部屋がいくつかあります。
宿泊客が使っていない部屋を表しているので vacant が自然です。
The building has been vacant for years.
訳:その建物は何年も空き家になっています。
建物を使用したり住んだりする人がいない状態を表しています。
vacant は「空席・空室」だけではない
vacant は、仕事のポジションが空いている場合にも使われます。
The position is still vacant.
訳:そのポジションはまだ空いています。
その職に就いている人がまだいないので vacant が使われています。
a vacant position や a vacant post で「空いている職・欠員」という意味になります。
empty と vacant はどう違う?
empty と vacant は、どちらも「空いている」と訳せるため混同しやすい単語です。
大きな違いは、empty は中に何もないこと、vacant はそこを使う人がいないことです。
The room is empty.
訳:その部屋には何もありません。
人や家具などがなく、部屋の中が空であることに注目しています。
The room is vacant.
訳:その部屋は空いています。
その部屋を現在使用している人がいないことに注目しています。ホテルの空室や賃貸物件などでよく使われます。
つまり、
empty room → 中に人や物がない部屋
vacant room → 誰も使っていない部屋
という違いがあります。
empty seat と vacant seat の違い
席については empty と vacant の両方を使うことができますが、ニュアンスが少し異なります。
There was an empty seat next to me.
訳:私の隣には誰も座っていない席がありました。
実際にその席に人が座っていないという、見た目の状態を表しています。
Is this seat vacant?
訳:この席は空いていますか。
「誰かが使うことになっている席ではありませんか」「私が使ってもよいですか」という意味合いがあります。
empty は「現在誰も座っていない」、vacant は「使用者がいなくて利用できる」という違いを意識するとわかりやすいでしょう。
blank ― 文字や情報がなく「空白の」
blank は、紙・用紙・画面・欄などに文字や記号、情報が何も書かれていない状態を表します。
そのため、日本語では「空白の」「白紙の」「何も書かれていない」と訳すことが多い単語です。
Please write your name in the blank space.
訳:空欄に名前を書いてください。
blank space は「空白・空欄」という意味です。
He handed me a blank sheet of paper.
訳:彼は私に何も書かれていない紙を渡しました。
紙そのものが空なのではなく、文字や絵などが何も書かれていないため blank を使います。
The screen suddenly went blank.
訳:画面が突然何も表示されなくなりました。
go blank で、画面などが「何も表示されない状態になる」という意味になります。
blank は「頭が真っ白になる」にも使える
blank は、文字や情報がないというイメージから、記憶や頭の中に何も浮かばない状態にも使われます。
My mind went blank during the interview.
訳:面接中に頭が真っ白になりました。
one’s mind goes blank は「頭が真っ白になる」「何も思い出せなくなる」というよく使われる表現です。
I completely blanked on his name.
訳:彼の名前が完全に思い出せませんでした。
blank on … は口語で、「〜を突然思い出せなくなる」という意味で使われることがあります。
empty と blank はどう違う?
empty と blank の違いも重要です。
empty は中身や内容物がないこと、blank は文字・記入・表示などの情報がないことに注目します。
The box is empty.
訳:その箱は空です。
箱の中に物が何も入っていないので empty です。
The form is blank.
訳:その用紙は未記入です。
用紙に何も記入されていないので blank が自然です。
つまり、
empty → 中身がない
blank → 記入・表示がない
という違いです。
「空欄」は empty ではなく blank が基本
問題集や申込書などの「空欄」には、基本的に blank を使います。
Fill in the blanks.
訳:空欄を埋めてください。
blank は名詞として「空欄」という意味でも使えます。英語の穴埋め問題でも非常によく見る表現です。
Leave this section blank.
訳:この欄は空白のままにしてください。
leave … blank は「〜を空欄のままにする」という表現です。
「空のグラス」なら empty
容器の中に何も入っていない場合には empty が基本です。
There were several empty glasses on the table.
訳:テーブルの上には空のグラスがいくつかありました。
グラスの中に飲み物が入っていないので empty を使います。
blank glass や vacant glass とは通常言いません。
「空室」なら vacant
ホテルや賃貸住宅などで、現在誰も使用していない部屋を表す場合には vacant がよく使われます。
Do you have any vacant rooms tonight?
訳:今夜、空いている部屋はありますか。
宿泊できる空室があるかを尋ねているので vacant が自然です。
ただし、ホテルで実際に部屋を尋ねる場合には、Do you have any rooms available? のように available を使うことも非常に一般的です。
3語の使い分けをもう一度整理
| こんなとき | 使う単語 | 例 |
|---|---|---|
| 空のボトル | empty | an empty bottle |
| 空の箱 | empty | an empty box |
| 人のいないレストラン | empty | an empty restaurant |
| 空いている席 | vacant | a vacant seat |
| 空室 | vacant | a vacant room |
| 空いている職 | vacant | a vacant position |
| 空欄 | blank | a blank |
| 何も書かれていない紙 | blank | a blank sheet of paper |
| 何も表示されない画面 | blank | a blank screen |
ミニクイズ
次の( )に入るもっとも自然な単語を、empty・vacant・blank から選んでみましょう。
Q1. The bottle is completely .
訳:そのボトルは完全に空です。
解説:ボトルの中に何も入っていないので empty が自然です。
Q2. Is this seat ?
訳:この席は空いていますか。
解説:その席を使っている人がいるかどうかを尋ねているので vacant が使えます。
Q3. Please leave this section .
訳:この欄は空白のままにしてください。
解説:文字や情報を記入しない「空欄」を表すので blank が自然です。
Q4. The apartment has been for six months.
訳:そのアパートは6か月間空き家になっています。
解説:そこに住んでいる人・使用している人がいない状態なので vacant が自然です。
Q5. He gave me a sheet of paper.
訳:彼は私に何も書かれていない紙を渡しました。
解説:紙に文字や絵などが何も書かれていないので blank が自然です。
Q6. The restaurant was almost .
訳:そのレストランにはほとんど人がいませんでした。
解説:場所の中に人がほとんどいない状態を表しているので empty が自然です。
Q7. My mind went during the presentation.
訳:プレゼン中に頭が真っ白になりました。
解説:one’s mind goes blank は「頭が真っ白になる・何も思い出せなくなる」という表現です。
Q8. The position is still .
訳:そのポジションはまだ空いています。
解説:その職に就いている人がまだいないので vacant が自然です。
まとめ
「空の」「空いている」を表す empty・vacant・blank は、「何がないのか」を考えると使い分けやすくなります。
- empty = 中に物や人が何もない「空の」
- vacant = 使用する人・占有する人がいない「空いている」
- blank = 文字・記入・表示などの情報がない「空白の」
ボトルや箱の中身がないなら empty、部屋・席・職などを使う人がいないなら vacant、紙・欄・画面などに文字や情報がないなら blank が基本です。
empty = 中身がない
vacant = 使用する人がいない
blank = 文字や情報がない
特に、an empty room は「中に人や物がない部屋」、a vacant room は「現在誰も使用していない部屋」、a blank form は「何も記入されていない用紙」という違いがあります。
また、My mind went blank. のように、blank は「頭が真っ白になる」という表現にも使われます。
単に3語を「空の」と覚えるのではなく、empty=中身、vacant=使用者、blank=情報 という3つの視点で整理すると、自然に使い分けられるようになります。