日本語の「合う」は、とても便利な言葉です。
- 靴のサイズが足に合う
- シャツの色がズボンに合う
- 青い服がその人に合う
- 金曜日なら予定が合う
日本語では、これらをすべて「合う」と表現できます。
しかし英語では、何と何が合っているのかによって、使う動詞が変わります。
今回取り上げるのは、次の3語です。
- fit
- match
- suit
どれも日本語では「合う」と訳せますが、中心となるイメージは異なります。
fit・match・suitの違い
| 単語 | 中心となる意味 | 主な関係 |
|---|---|---|
| fit | 大きさや形が合う | 物と身体・空間 |
| match | 色・柄・内容などが合う | 物と物 |
| suit | 人や状況に適している | 物・仕事・予定と人 |
まずは、次のように覚えると分かりやすいでしょう。
- fit:サイズや形がぴったり収まる
- match:二つの物が調和したり一致したりする
- suit:人に似合う、向いている、都合がよい
この記事では、服、靴、予定などの日常的な場面を中心に、3語の使い分けを見ていきます。
British National Corpusとは
British National Corpus(BNC)は、書き言葉と話し言葉を集めた、約1億語規模のイギリス英語のコーパスです。
新聞、小説、学術文書、手紙、会話など、さまざまな種類の英語が収録されています。
コーパスを使うと、単語の意味を辞書で調べるだけでなく、次のような点を確認できます。
- どのような名詞と一緒に使われるのか
- どのような文型で使われるのか
- 実際の英語の中で、どのような意味を表しているのか
BNCは、主に20世紀後半のイギリス英語を収録したコーパスです。収録内容の大部分は書き言葉で、文字に起こされた話し言葉も含まれています。
なお、この記事の例文はBNCからそのまま引用したものではありません。BNCや英英辞典などを参考にしながら、3語の基本的な使い方が分かるように作成しています。
1.fit― 大きさや形が「合う」
fitの中心にあるのは、物の大きさや形が、身体や空間にうまく収まるというイメージです。
服や靴のサイズ、家具と部屋、鍵と錠などの関係に使われます。
服や靴のサイズが合う
These shoes fit me perfectly.
この靴は、私の足にぴったり合います。
ポイント
靴の大きさや形が、足にちょうど合っていることを表します。「似合う」という意味ではありません。
This jacket fits me well.
このジャケットは、私の身体によく合います。
ポイント
ジャケットのサイズや形が身体に合っています。
These trousers don’t fit me anymore.
このズボンは、もう私には合いません。
ポイント
以前はサイズが合っていましたが、今は身体に合わなくなったことを表します。
Do these shoes fit you?
この靴は、あなたの足に合いますか?
ポイント
基本の形はfit+人です。通常、fit to meとは言いません。
物が空間に収まる
fitは、服や靴だけに使う動詞ではありません。
物がある場所に入る、または空間へ収まる場合にも使えます。
This table won’t fit in the kitchen.
このテーブルは、キッチンには収まりません。
ポイント
テーブルの大きさが、キッチンの空間に合わないことを表します。
Can this box fit in the car?
この箱は車に入りますか?
ポイント
箱を車内や荷室へ収められるかを尋ねています。
The sofa is too large to fit through the door.
そのソファは大きすぎて、ドアを通りません。
ポイント
fit throughで、物が開口部を通れる大きさであることを表します。
鍵や部品の形が合う
This key doesn’t fit the lock.
この鍵は、その錠に合いません。
ポイント
鍵の形が錠の形に合わず、正しく差し込んだり回したりできません。
The lid doesn’t fit the container.
そのふたは、容器に合いません。
ポイント
ふたの大きさや形が、容器の口に合っていません。
2.match― 色や組み合わせが「合う」
matchの中心にあるのは、二つ以上の物が似ている、対応している、または調和しているというイメージです。
服の色や柄、靴とバッグ、家具と部屋など、物同士の組み合わせについてよく使われます。
色や服の組み合わせが合う
This shirt matches your trousers.
このシャツは、あなたのズボンに合っています。
ポイント
シャツのサイズではなく、シャツとズボンの色やデザインが調和しています。
Your shoes match your bag.
あなたの靴は、バッグに合っています。
ポイント
靴とバッグという、二つの物の組み合わせに注目しています。
This tie matches your shirt well.
このネクタイは、あなたのシャツによく合っています。
ポイント
ネクタイとシャツの色、柄、雰囲気が調和しています。
二つの物が同じ、またはそろっている
matchには、「同じである」「一致する」という意味もあります。
The two colors match exactly.
その二つの色は完全に一致しています。
ポイント
二つの色を比べたとき、違いがないことを表します。
These socks don’t match.
この靴下は、左右がそろっていません。
ポイント
色、柄、形などが異なり、同じ組の靴下ではないように見えます。
I can’t find a cup that matches this plate.
この皿と同じ柄のカップが見つかりません。
ポイント
皿と同じデザインや組み合わせになるカップを探しています。
情報や数字が一致する
matchは、見た目だけでなく、情報、数字、説明などが一致する場合にも使えます。
His story doesn’t match the facts.
彼の話は、事実と一致しません。
ポイント
彼の説明と、確認された事実を比べています。
The numbers don’t match.
数字が一致しません。
ポイント
二つ以上の記録や計算結果が同じではないことを表します。
The description matches the photograph.
その説明は、写真と一致しています。
ポイント
説明された特徴と、写真に写っている内容が一致しています。
3.suit― 人や状況に「合う」
suitの中心にあるのは、ある物や状況が、その人にとって適しているというイメージです。
服や色が人に似合う場合だけでなく、仕事、時間、方法、生活環境などが人に合う場合にも使われます。
服や色が人に似合う
Blue suits you.
青は、あなたに似合います。
ポイント
青という色が、その人の外見や雰囲気に合っています。
That dress really suits you.
そのドレスは、本当にあなたに似合っています。
ポイント
ドレスのサイズではなく、デザインや雰囲気とその人との相性を表しています。
Short hair suits her.
彼女には短い髪が似合います。
ポイント
髪型と、その人の顔立ちや雰囲気との相性を表します。
This color doesn’t suit me.
この色は、私には似合いません。
ポイント
色と人との相性がよくないという意味です。
仕事や環境が人に向いている
This job would suit her.
この仕事は、彼女に向いているでしょう。
ポイント
仕事の内容が、彼女の性格、能力、経験などに合っています。
Teaching suits him.
彼は教師という仕事に向いています。
ポイント
教える仕事と、その人の性格や能力との相性を表しています。
A quiet workplace suits me better.
私には、静かな職場のほうが合っています。
ポイント
職場環境と、自分の好みや働き方との相性を表します。
日時の都合が合う
suitは、予定を決める会話でも使われます。
Does Friday suit you?
金曜日は、ご都合がよいですか?
ポイント
金曜日という日時が、相手の予定や都合に合うかを尋ねています。
Three o’clock would suit me better.
私は、3時のほうが都合がよいです。
ポイント
複数の候補の中では、3時が自分にとって都合がよいと伝えています。
What time would suit you?
何時がご都合よろしいですか?
ポイント
特にイギリス英語では、日時と人の都合を表す自然な言い方です。
同じ「この服は合う」でも意味が違う
服について話すときは、fit・match・suitの3語をすべて使えます。
ただし、それぞれ注目している関係が異なります。
This jacket fits you.
このジャケットは、あなたの身体に合っています。
ポイント
ジャケットと身体のサイズや形に注目しています。
This jacket suits you.
このジャケットは、あなたに似合っています。
ポイント
色、デザイン、雰囲気と、その人との相性に注目しています。
This jacket matches your trousers.
このジャケットは、あなたのズボンに合っています。
ポイント
ジャケットとズボンという、物同士の組み合わせに注目しています。
| 英文 | 注目していること |
|---|---|
| The jacket fits you. | ジャケットと身体のサイズ |
| The jacket suits you. | ジャケットとその人との相性 |
| The jacket matches your trousers. | ジャケットとズボンの組み合わせ |
服について迷ったときは、次のように考えましょう。
fitはサイズ、matchは組み合わせ、suitは似合う
同じ服でも、何との関係を表すかによって動詞が変わります。
覚え方
身体ならfit、ほかの服ならmatch、その人ならsuitです。
「この色は合う」を英語で表す
日本語では「この色は合う」とだけ言うことがあります。
英語では、何に合うのかを明確にすると、単語を選びやすくなります。
色と物が合う
This color matches the walls.
この色は、壁の色に合っています。
ポイント
色と壁という、物同士の組み合わせなのでmatchを使います。
This color matches your jacket.
この色は、あなたのジャケットに合っています。
ポイント
色とジャケットの組み合わせを表しています。
色が人に似合う
This color suits you.
この色は、あなたに似合います。
ポイント
色と人との相性を表すため、suitを使います。
| 関係 | 使う動詞 |
|---|---|
| 色と色、色と物が合う | match |
| 色が人に似合う | suit |
「予定が合う」はfitとsuitのどちら?
予定については、fitとsuitの両方が使われることがあります。
ただし、注目する点が異なります。
suit:人にとって都合がよい
Would Friday suit you?
金曜日は、ご都合がよいですか?
ポイント
金曜日という日時が、相手にとって都合がよいかを尋ねています。
fit:予定の中に収まる
Friday fits into my schedule.
金曜日なら、私の予定に入れられます。
ポイント
金曜日の予定を、自分のスケジュールの中へ収められるというイメージです。
I’m trying to fit the meeting into my schedule.
その会議を、何とか予定に組み込もうとしています。
ポイント
基本の形はfit something into a scheduleです。
相手の都合を尋ねるならsuit、自分の予定へ組み込めるかを述べるならfitと考えると分かりやすいでしょう。
fit・match・suitには意味の重なりもある
ここまで、3語を次のように整理してきました。
- fit:大きさや形
- match:組み合わせや一致
- suit:人や状況への適合
ただし、英単語の意味は、いつでも完全に分けられるわけではありません。
fitには、「目的や条件に合う」という使い方もあります。
This plan fits our needs.
この計画は、私たちの必要に合っています。
ポイント
計画の内容が、必要としている条件に収まるという感覚です。
He fits the description.
彼は、その人物についての説明に当てはまります。
ポイント
彼の外見や特徴が、説明された条件に合っています。
matchにも、人の能力や条件が要件と一致するという使い方があります。
His skills match the requirements.
彼の技能は、その要件に合っています。
ポイント
彼の技能と、求められている条件を比べ、一致していることを表します。
意味が重なる用法はありますが、日常的な場面で迷ったときは、まず基本の違いから考えるとよいでしょう。
大きさや形ならfit、物同士の組み合わせならmatch、人に適しているならsuit
まずは、この三つの関係から判断します。
ポイント
文脈によって意味が広がる場合もありますが、基本イメージを押さえると区別しやすくなります。
どの単語を選べばよい?
1.大きさや形の話ですか?
服、靴、家具、箱などが、身体や空間に収まるという話ならfitを使います。
These shoes fit me.
この靴は、私の足に合います。
判断
靴と足の大きさや形の関係なのでfitです。
2.二つの物を比べていますか?
色、柄、デザイン、情報などが調和または一致しているならmatchを使います。
These shoes match my bag.
この靴は、私のバッグに合います。
判断
靴とバッグという物同士の組み合わせなのでmatchです。
3.人に似合う、向いている、都合がよいという話ですか?
服、色、仕事、時間などが、その人に適しているならsuitを使います。
These shoes suit you.
この靴は、あなたに似合います。
判断
靴のデザインや雰囲気と、その人との相性なのでsuitです。
ミニクイズ:正しい「合う」を選ぼう
次の英文の空欄には、fit・match・suitのどれが入るでしょうか。
文に合う形へ変化させてください。
英文の直下には和訳が表示されています。空欄にマウスを重ねると、答えとポイントが表示されます。スマートフォンでは空欄をタップしてください。
These shoes don’t me.
和訳
この靴は少し小さくて、私の足に合いません。
ポイント
靴の大きさや形が足に合わないため、fitを使います。
That tie your shirt well.
和訳
そのネクタイは、あなたのシャツによく合っています。
ポイント
ネクタイとシャツの組み合わせなのでmatchを使います。主語が三人称単数なのでmatchesとなります。
That hairstyle you.
和訳
その髪型は、あなたに似合っています。
ポイント
髪型と人との相性を表すため、suitを使います。
Would three o’clock you?
和訳
午後3時で、ご都合はいかがですか?
ポイント
3時が相手の都合に合うかを尋ねるため、suitを使います。
This shelf won’t in that small space.
和訳
この棚は、その狭い場所には入りません。
ポイント
棚が空間に収まらないため、fitを使います。
His explanation doesn’t the facts.
和訳
彼の説明は、事実と一致しません。
ポイント
説明と事実という二つの内容が一致しないため、matchを使います。
I think this job would her.
和訳
この仕事は、彼女に向いていると思います。
ポイント
仕事が彼女の性格や能力に適しているため、suitを使います。
まとめ
日本語の「合う」は、英語では対象や状況によって表現が変わります。
| 単語 | 中心となる意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| fit | 大きさ・形・空間が合う | The jacket fits you. |
| match | 色・柄・内容が合う | The jacket matches your trousers. |
| suit | 人・仕事・都合に合う | The jacket suits you. |
特に服について話すときは、次の違いを意識すると分かりやすくなります。
- fit:サイズが合う
- match:ほかの物との組み合わせが合う
- suit:その人に似合う
日本語では同じ「合う」でも、英語では「何と何の関係を表しているのか」を考えることが大切です。
単語だけを日本語訳と結びつけるのではなく、身体、物、人、予定など、場面や対象と一緒に覚えると、fit・match・suitを使い分けやすくなります。