日本語では、誘いを「断る」、お願いを「断る」、提案を「断る」、申請を「断る」など、さまざまな場面で同じ「断る」という言葉を使います。
英語では、こうした場面で refuse、reject、decline が使われます。
ただし、この3語は単純な同義語ではありません。
大まかに言えば、refuse は「したくない・受け入れないとはっきり拒む」、reject は「検討したうえで受け入れられないと判断する」、decline は「丁寧に辞退する」という違いがあります。
たとえば、同じ「申し出を断る」でも、次のようにニュアンスが変わります。
He refused the offer.
訳:彼はその申し出を拒みました。
refuse は「受け入れない」という本人の強い意思に焦点があります。「嫌だ」「しない」という拒否の感覚が比較的強く出ます。
The committee rejected the proposal.
訳:委員会はその提案を却下しました。
reject は、提案を検討したうえで「採用できない」「受け入れられない」と判断したことに焦点があります。
She declined the invitation.
訳:彼女はその招待を辞退しました。
decline は「断る」という結果は同じでも、丁寧で控えめな響きがあります。招待や申し出を礼儀正しく断る場面によく使われます。
この3語を使い分けるポイントは、「断った」という結果だけでなく、本人の拒否なのか、判断による不採用なのか、それとも丁寧な辞退なのかを見ることです。
refuse・reject・decline の違いをざっくり確認
| 単語 | 中心イメージ | よく使う場面 | 代表的な形 |
|---|---|---|---|
| refuse | 「嫌だ・しない」と拒む | 依頼、命令、要求、行動、協力 | refuse to do / refuse something |
| reject | 受け入れられないと判断する | 提案、申請、案、主張、商品、人 | reject something |
| decline | 丁寧に辞退する | 招待、申し出、依頼、機会 | decline something / decline to do |
特に重要なのは、3語が注目しているポイントの違いです。
refuse は、話し手や本人の意思が前面に出ます。
reject は、何かを評価・審査した結果として受け入れない、という意味になりやすい語です。
decline は、招待や申し出などを礼儀正しく辞退する場面で使われます。
refuse ―「したくない・受け入れない」と拒む
refuse の中心イメージは、相手から求められたことや差し出されたものに対して、「受け入れない」「しない」と意思を示すことです。
3語の中では、拒否の意思が比較的はっきり感じられる語です。
refuse to do ― 〜することを拒む
refuse で特に重要なのが、refuse to + 動詞 の形です。
He refused to answer the question.
訳:彼はその質問に答えることを拒みました。
単に答えなかったのではなく、本人が「答えない」という意思を示したニュアンスがあります。
She refused to sign the document.
訳:彼女はその書類への署名を拒みました。
署名を求められたものの、それを本人の意思で拒否した場面です。
The company refused to comment.
訳:その会社はコメントを拒みました。
refuse to comment はニュースで非常によく見かける表現です。「コメントしない」という明確な意思を示します。
refuse + 名詞 ― もの・要求などを拒む
refuse は名詞を直接目的語にすることもできます。
He refused my request.
訳:彼は私の頼みを断りました。
相手からの request を受け入れなかった、という直接的な拒否です。
She refused the offer.
訳:彼女はその申し出を断りました。
offer を受け入れないという意思に重点があります。ただし、礼儀正しく申し出を辞退する場面では decline the offer のほうが柔らかい表現になります。
refuse someone entry / access ― 入場・利用を拒否する
refuse はサービスや権利などを与えないという意味でも使われます。
They refused him entry to the building.
訳:彼はその建物への入場を拒否されました。
refuse someone entry は「人の入場を認めない」という表現です。ニュースや公式な文章でも使われます。
flatly refuse ― きっぱり拒否する
refuse は、副詞と組み合わせることで拒否の強さを表せます。
He flatly refused to apologize.
訳:彼は謝罪することをきっぱり拒みました。
flatly refuse は「きっぱり拒む」「断固として断る」という定番表現です。かなり強い拒否を表します。
categorically refuse も「断固として拒否する」という意味で、ややフォーマルな文章やニュースで使われます。
名詞は refusal
refuse の名詞形は refusal です。
His refusal to cooperate caused further delays.
訳:彼が協力を拒んだため、さらに遅れが生じました。
refusal to do で「〜することの拒否」という意味になります。
reject ―「受け入れられない」と判断する
reject の中心イメージは、何かを見たり検討したりしたうえで、「これは受け入れられない」と判断して退けることです。
そのため、提案・申請・案・主張・商品など、評価や審査の対象になるものと非常によく使われます。
reject a proposal ― 提案を却下する
The board rejected the proposal.
訳:取締役会はその提案を却下しました。
提案を検討した結果、採用しなかったという意味です。ビジネスでは非常によく使われます。
reject an application ― 申請を却下する
His visa application was rejected.
訳:彼のビザ申請は却下されました。
審査の結果、申請が認められなかった場面です。この場合は refuse や decline より reject が自然です。
reject an idea / argument ― 考え・主張を退ける
Scientists rejected the idea because there was no evidence to support it.
訳:科学者たちは、それを裏付ける証拠がなかったため、その考えを退けました。
内容を検討したうえで「妥当ではない」と判断したため reject が使われています。
reject a product ― 不良品としてはねる
reject は、人の意思だけでなく品質検査などにも使えます。
The factory rejected the parts because they failed the quality check.
訳:その部品は品質検査に通らなかったため、工場では不合格になりました。
基準を満たさないため「受け入れられない」と判断されています。
人を reject すると「拒絶する」
reject は人を目的語にすることもありますが、その場合はかなり強く「人を拒絶する」という意味になります。
She was afraid he would reject her.
訳:彼女は彼に拒絶されるのではないかと心配していました。
恋愛や人間関係で相手の気持ちを受け入れない、といった場面で使われます。単に誘いを丁寧に断るという意味ではありません。
outright reject ― 完全に退ける
The government outright rejected the proposal.
訳:政府はその提案を全面的に退けました。
outright reject は「完全に・はっきり退ける」という意味です。ニュースやビジネス記事でも使われます。
名詞は rejection
reject の名詞形は rejection です。
She was disappointed by the rejection of her application.
訳:彼女は申請が却下されてがっかりしました。
application、proposal、request などの「却下」を表すときに rejection が使われます。
decline ― 丁寧に「辞退する」
decline の中心イメージは、招待や申し出などに対して、礼儀正しく「今回は結構です」と辞退することです。
refuse より柔らかく、フォーマルで丁寧な響きがあります。
decline an invitation ― 招待を辞退する
I’m afraid I’ll have to decline the invitation.
訳:残念ですが、そのご招待は辞退しなければなりません。
invitation を礼儀正しく断る典型的な場面です。decline an invitation は非常に自然な組み合わせです。
decline an offer ― 申し出を辞退する
She politely declined the job offer.
訳:彼女はその仕事のオファーを丁寧に辞退しました。
仕事のオファーなど、相手の申し出に感謝しながら断る場面では decline がよく合います。
decline to do ― 丁寧に〜することを断る
decline も refuse と同じように、decline to + 動詞 の形を取ることができます。
He declined to answer the question.
訳:彼はその質問への回答を控えました。
refused to answer よりも柔らかく、フォーマルです。記者会見などでは「回答を拒否した」より「回答を控えた」に近いニュアンスになることがあります。
The company declined to comment.
訳:その会社はコメントを控えました。
decline to comment はニュースで非常によく使われる表現です。refuse to comment より中立的で、強い対立感を出さずに「コメントしない」ことを表せます。
politely decline ― 丁重に断る
I politely declined their offer.
訳:私はその申し出を丁重にお断りしました。
politely decline は「角を立てずに断る」という意味で非常によく使われます。
decline には「減少する」という別の意味もある
decline には「断る」以外に、減少する・低下するという重要な意味があります。
Sales declined last year.
訳:昨年、売上が減少しました。
この decline は「辞退する」とはまったく別の意味です。ニュースやビジネスではこちらの意味も非常によく使われます。
同じ場面で refuse・reject・decline を比べてみよう
仕事のオファーを断る場合
She refused the job offer.
訳:彼女はその仕事のオファーを拒みました。
受け入れないという強い意思に焦点があります。文脈によっては少し強い響きになります。
She declined the job offer.
訳:彼女はその仕事のオファーを辞退しました。
同じく受けなかったという意味ですが、こちらは礼儀正しく辞退したニュアンスです。仕事のオファーではこちらが非常に自然です。
reject the job offer も文法的には可能ですが、一般に候補者がオファーを丁寧に断る場面なら decline のほうが自然です。reject は「その条件・内容を受け入れられないと判断した」という硬い響きになりやすくなります。
提案を受け入れない場合
The manager refused to consider the proposal.
訳:そのマネージャーは提案を検討すること自体を拒みました。
refuse は「検討しない」という本人の意思を示しています。
The manager rejected the proposal.
訳:そのマネージャーはその提案を却下しました。
こちらは提案を評価したうえで採用しなかった、という意味です。
この違いは重要です。
refuse to consider なら「そもそも検討しない」、reject なら「検討したが採用しない」という違いが生まれます。
質問に答えない場合
He refused to answer the question.
訳:彼はその質問に答えることを拒みました。
「答えない」という強い意思が感じられます。
He declined to answer the question.
訳:彼はその質問への回答を控えました。
結果として答えない点は同じですが、decline はより丁寧・中立的です。
ニュースでは、対立的なニュアンスを抑えるために declined to answer や declined to comment がよく使われます。
よく使われるコロケーション・定番表現
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| refuse to answer | 答えることを拒む |
| refuse to cooperate | 協力を拒む |
| refuse to comment | コメントを拒む |
| refuse a request | 頼み・要求を断る |
| flatly refuse | きっぱり拒否する |
| reject a proposal | 提案を却下する |
| reject an application | 申請を却下する |
| reject an idea | 考えを退ける |
| reject a claim | 主張を退ける |
| outright reject | 全面的に拒否・却下する |
| decline an invitation | 招待を辞退する |
| decline an offer | 申し出を辞退する |
| decline to comment | コメントを控える |
| decline to answer | 回答を控える |
| politely decline | 丁重に断る |
会話でよく使う turn down も覚えておこう
「断る」という意味では、日常会話で turn down も非常によく使われます。
I turned down the job offer.
訳:私はその仕事のオファーを断りました。
turn down は口語的で自然な「断る」です。decline より日常会話らしく、refuse ほど強い響きもありません。
She turned down my invitation.
訳:彼女は私の誘いを断りました。
友人からの誘いなど、普段の会話では decline より turn down のほうが自然になることも多くあります。
使い分けるなら、decline はやや丁寧・フォーマル、turn down は日常的と考えると分かりやすいでしょう。
日本人学習者が間違えやすいポイント
1.reject to do とは通常言わない
refuse と decline は、後ろに to不定詞を取ることができます。
refuse to do
decline to do
一方、reject は通常、reject to do という形では使いません。
He refused to sign the contract.
訳:彼はその契約書への署名を拒みました。
「〜することを拒む」なら refuse to do が基本です。
He rejected the contract.
訳:彼はその契約を受け入れませんでした。
reject の後ろには contract などの名詞を直接置きます。
2.丁寧に断りたいなら refuse より decline
レストラン、招待、仕事のオファー、ビジネス上の申し出などを礼儀正しく断る場合、refuse は強すぎることがあります。
I appreciate the invitation, but I’ll have to decline.
訳:お誘いはありがたいのですが、今回は辞退させていただきます。
相手への配慮を残して断る、非常に自然な言い方です。
3.reject は「嫌だから断る」ではなく「不採用にする」ことが多い
reject は感情的に「嫌だ」と断る語というより、基準・判断・評価に基づいて受け入れない場合によく使われます。
The bank rejected his loan application.
訳:銀行は彼のローン申請を却下しました。
銀行が「嫌だから断った」のではなく、審査の結果として承認しなかったという意味です。
4.refuse と reject は人を目的語にしたとき意味が変わりやすい
reject someone は「その人自身を拒絶する」という強い意味になりやすい表現です。
単に相手のお願いを断るなら、次のように「何を断ったのか」を明確にしたほうが自然です。
I had to refuse his request.
訳:私は彼の頼みを断らなければなりませんでした。
断っているのは「彼自身」ではなく、彼の request です。
5.decline は常に「断る」ではない
decline は文脈によって「辞退する」と「減少する」の両方があります。
She declined the invitation.
訳:彼女は招待を辞退しました。
目的語が invitation なので「断る」という意味です。
Demand has declined significantly.
訳:需要は大幅に減少しました。
こちらは「減る」という別の意味です。文脈で判断しましょう。
refuse・reject・decline の使い分けを再確認
| こんなとき | 自然な語 | 考え方 |
|---|---|---|
| 頼まれた行動を「しない」と拒む | refuse | 本人の拒否の意思 |
| 協力を拒む | refuse | 「しない」という意思 |
| 提案を却下する | reject | 検討後の不採用 |
| 申請を却下する | reject | 審査の結果 |
| 考え・主張を退ける | reject | 妥当でないと判断 |
| 招待を丁寧に断る | decline | 礼儀正しい辞退 |
| 仕事のオファーを丁寧に断る | decline | 申し出を辞退 |
| コメントを控える | decline | 中立的・フォーマルな拒否 |
ミニクイズ
refuse・reject・decline の使い分けを確認してみましょう。空欄に入る最も自然な語や表現を考えてください。
Q1. He answer the question.
訳:彼はその質問に答えることを拒みました。
解説:「〜することを拒む」は refuse to do が基本です。本人の強い拒否の意思が感じられます。
Q2. The bank his loan application.
訳:銀行は彼のローン申請を却下しました。
解説:申請を審査し、受け入れられないと判断したので reject が自然です。
Q3. She politely the invitation.
訳:彼女はその招待を丁寧に辞退しました。
解説:招待を礼儀正しく断る場合は decline が自然です。politely decline はよく使われる組み合わせです。
Q4. The committee the proposal after a long discussion.
訳:委員会は長い議論の末、その提案を却下しました。
解説:検討や議論の結果、提案を採用しなかったので reject が適しています。
Q5. The company comment on the report.
訳:その会社はその報道についてコメントを控えました。
解説:decline to comment はニュースで頻出する表現です。強い「拒否」よりも「コメントを控える」という中立的な響きがあります。
Q6. He to apologize.
訳:彼は謝罪することをきっぱり拒みました。
解説:flatly refuse は「きっぱり拒否する」という定番表現です。非常に明確な拒否を表します。
Q7. I decided to the job offer.
訳:私はその仕事のオファーを断ることにしました。
解説:turn down は日常会話でよく使われる「断る」です。decline よりカジュアルで、refuse より柔らかい響きがあります。
Q8. She was afraid that he would her.
訳:彼女は彼に拒絶されるのではないかと心配していました。
解説:reject someone は、人間関係で「その人を受け入れない・拒絶する」という意味になります。
Q9. He the offer as politely as he could.
訳:彼はできるだけ丁寧にその申し出を断りました。
解説:相手への配慮を保ちながら申し出を辞退するため、decline が自然です。
まとめ ―「断る理由」ではなく「断り方の性質」で選ぼう
refuse、reject、decline は、いずれも日本語では「断る」「拒否する」と訳されます。
しかし、選ぶ基準は「断った」という結果ではありません。
refuse = 自分の意思で「しない・受け入れない」と拒む
reject = 検討・審査した結果、「受け入れられない」と退ける
decline = 相手に配慮しながら、丁寧に辞退する
たとえば、質問への回答を拒むなら refuse to answer、申請を審査して却下するなら reject an application、招待を丁重に辞退するなら decline an invitation と考えると分かりやすくなります。
さらに、日常会話では turn down も重要です。
英語で「断る」と言いたくなったら、まず強い意思による拒否なのか、判断による不採用なのか、礼儀正しい辞退なのかを考えてみましょう。
この視点を持てば、refuse・reject・decline を単なる暗記ではなく、場面に応じて自然に使い分けられるようになります。