英語で考える日本語の「きく」シリーズ 第2回
「この薬はよく効きます」を英語で表すとき、まず覚えておきたいのがworkです。
This medicine works well.
この薬はよく効きます。
ポイント
ここでのworkは「仕事をする」ではなく、「期待した効果を発揮する」という意味です。
ただし、薬について使う英語表現はworkだけではありません。
- work:薬に効果がある
- start working:薬が効き始める
- kick in:薬が効いてくる
- take effect:薬の効果が現れる
- wear off:薬の効果が切れてくる
この記事では、薬の効果がどのような状態にあるのかに注目しながら、これらの表現を比較します。
シリーズ第1回では、日本語の「効く」と「利く」の違いと、英語のworkについて紹介しました。
第1回:日本語の「きく」―「効く」と「利く」の違いと英語表現
薬の効果を表す英語の違い
| 表現 | 中心となる意味 | 日本語のイメージ |
|---|---|---|
| work | 薬に効果がある | 薬が効く |
| start working | 効果が現れ始める | 薬が効き始める |
| kick in | 効果を感じられるようになる | 薬が効いてくる |
| take effect | 薬が作用し、効果が現れる | 薬の効果が現れる |
| wear off | 効果が徐々になくなる | 薬の効果が切れてくる |
まずは、次の3つを中心に覚えるとよいでしょう。
- 普段「薬が効く」と言うならwork
- 体感として「効いてきた」と言うならkick in
- 少し客観的に「効果が現れる」と言うならtake effect
work:薬に効果がある
薬が期待した効果を発揮することを表す、もっとも基本的で使いやすい動詞がworkです。
The medicine works.
その薬は効きます。
ポイント
薬そのものに効果があることを述べています。効果が出始める時点には注目していません。
This medicine works well for headaches.
この薬は頭痛によく効きます。
ポイント
work well for+症状で、「その症状によく効く」と表せます。
Does this medicine really work?
この薬は本当に効きますか?
ポイント
薬に実際の効果があるのかを尋ねる、日常的な表現です。
This medicine doesn’t work for me.
この薬は私には効きません。
ポイント
for meを加えると、「一般には効くかもしれないが、私には効かない」という個人差を表せます。
medicineとdrugの違い
日本語の「薬」を日常会話で表す場合は、一般にmedicineが使いやすいでしょう。
I took some medicine for my headache.
頭痛の薬を飲みました。
ポイント
病気や症状を治療するために飲む薬を、日常的に表しています。
drugも「薬」「医薬品」という意味で使われます。
ただし、医学、薬学、製薬などの文脈で使われることが多く、文脈によっては違法薬物を指すこともあります。
日常会話で、自分が飲む薬について話すなら、まずはmedicineを使うと分かりやすいでしょう。
薬の種類が分かっている場合は、具体的な名称を使えます。
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| painkiller | 鎮痛剤、痛み止め |
| sleeping pill | 睡眠薬 |
| antibiotics | 抗生物質 |
| cold medicine | 風邪薬 |
start working:薬が効き始める
薬の効果が現れ始めることを、分かりやすく表すのがstart workingです。
The medicine is starting to work.
薬が効き始めています。
ポイント
効果がない状態から、少しずつ効果が現れ始めたことを表します。
The painkiller has started working.
鎮痛剤が効き始めました。
ポイント
現在完了形を使い、薬が効き始めた現在の状態につなげています。
start workingは、意味が文字どおりで分かりやすく、日常会話でも使いやすい表現です。
kick in:薬が効いてくる
kick inは、薬の作用が始まり、本人が効果を感じられるようになるときによく使われます。
The painkiller should kick in soon.
鎮痛剤は、もうすぐ効いてくるはずです。
ポイント
もう少しすると痛みが和らぎ、薬の効果を感じられるようになることを表します。
The anesthesia began to kick in.
麻酔が効き始めました。
ポイント
麻酔の作用が始まり、感覚に変化が現れ始めた状態です。
The medicine is kicking in.
薬が効いてきています。
ポイント
「だんだん効いてきた」という、本人の体感に合いやすい表現です。
kick inは、日本語の「効き始める」よりも、「効いてくる」に近い感覚があります。
「まだ効いていない」を表す
薬を飲んでも、すぐに効果が現れるとは限りません。
「まだ効いていない」と言う場合は、否定文にyetを加えます。
The medicine hasn’t kicked in yet.
薬はまだ効いていません。
ポイント
薬を飲んではいるものの、まだ効果を体感できていない状態です。
The painkiller hasn’t started working yet.
鎮痛剤はまだ効き始めていません。
ポイント
hasn’t started working yetは、意味が分かりやすい一般的な表現です。
take effect:効果が現れる
take effectも、薬や治療の効果が現れることを表します。
kick inよりも少し客観的で、改まった響きがあります。
The medicine will take effect in about thirty minutes.
薬は約30分で効き始めます。
ポイント
薬の効果が現れるまでの時間を、客観的に説明しています。
It may take some time for the medicine to take effect.
薬が効くまで、少し時間がかかるかもしれません。
ポイント
病院での説明や、薬の説明などにも合う表現です。
The medicine has taken effect.
薬の効果が現れました。
ポイント
効果が現れたことを、比較的客観的に表しています。
work・kick in・take effectの違い
| 英文 | 注目する点 | 日本語のイメージ |
|---|---|---|
| This medicine works. | 薬そのものに効果がある | この薬は効く |
| The medicine is starting to work. | 効果が現れ始めている | 薬が効き始めた |
| The medicine is kicking in. | 効果を体感し始めている | 薬が効いてきた |
| The medicine has taken effect. | 効果が現れたことを客観的に述べる | 薬の効果が現れた |
start workingとkick inは、意味が重なることもあります。
ただし、start workingは分かりやすく一般的で、kick inは作用や効果を実感し始める感覚が出やすい表現です。
wear off:薬の効果が切れてくる
薬の効果が徐々に弱まり、なくなっていく場合はwear offを使います。
The painkiller is wearing off.
鎮痛剤の効果が切れてきました。
ポイント
痛み止めの効果が少しずつ弱くなっている状態です。
The anesthesia has worn off.
麻酔が切れました。
ポイント
麻酔の作用がなくなり、感覚が戻った状態を表します。
wear offは、薬や麻酔だけでなく、感情や一時的な感覚が薄れていく場合にも使えます。
The excitement soon wore off.
興奮はすぐに収まりました。
ポイント
強かった興奮が、時間とともに弱くなったことを表しています。
コーヒーやカフェインが「効いてくる」
kick inは薬だけでなく、コーヒーやカフェインなど、身体に作用するものにも使えます。
The coffee is starting to kick in.
コーヒーが効いてきました。
ポイント
コーヒーを飲んだあと、眠気が減るなどの効果を感じ始めています。
I’m still waiting for the coffee to kick in.
コーヒーが効いてくるのを、まだ待っています。
ポイント
コーヒーを飲んだものの、まだ眠気が取れない場面で使えます。
The caffeine kicked in, and I felt more awake.
カフェインが効いてきて、目が覚めてきました。
ポイント
カフェインの作用を実感し始めたことを表しています。
「すぐ効く」を英語で表す
薬が短い時間で効くことは、次のように表せます。
This medicine works quickly.
この薬はすぐに効きます。
ポイント
work quicklyは、日常的で意味の分かりやすい表現です。
This is a fast-acting painkiller.
これは即効性のある鎮痛剤です。
ポイント
fast-actingは「作用の速い」「即効性のある」という形容詞です。
「よく効く」と「作用が強い」は同じではない
日本語では、よく効く薬を「強い薬」と表現することがあります。
しかし、英語のstrong medicineやstrong painkillerは、一般に薬の作用や強さに注目する表現です。
This is a strong painkiller.
これは作用の強い鎮痛剤です。
ポイント
「自分によく効く」という個人的な効果ではなく、薬そのものの作用の強さを表します。
This painkiller works well for me.
この鎮痛剤は、私にはよく効きます。
ポイント
自分にとって効果が高いことを言いたい場合は、works well for meが意味を正確に伝えます。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| a strong painkiller | 作用の強い鎮痛剤 |
| works well for me | 私にはよく効く |
ミニクイズ:薬の効果に合う表現を選ぼう
次の英文の空欄に入る表現を考えてみましょう。
work / start working / kick in / take effect / wear offから選び、文に合う形に変えてください。
英文の直下には和訳が表示されています。空欄にマウスを重ねると、答えとポイントが表示されます。スマートフォンでは空欄をタップしてください。
This medicine really .
和訳
この薬は本当によく効きます。
ポイント
薬そのものに効果があることを述べるため、workを使います。
The painkiller is starting to .
和訳
鎮痛剤が効き始めています。
ポイント
効果が現れ始めた状態を、分かりやすく表すstart workingの形です。
The medicine should soon.
和訳
薬はもうすぐ効いてくるはずです。
ポイント
もうすぐ効果を体感できるようになるため、kick inを使います。
The medicine hasn’t yet.
和訳
薬はまだ効いていません。
ポイント
まだ薬の効果を実感できていないため、hasn’t kicked in yetを使います。
The medicine will in about thirty minutes.
和訳
薬は約30分で効き始めます。
ポイント
効果が現れる時点を客観的に説明するため、take effectが合います。
The anesthesia is beginning to .
和訳
麻酔が切れ始めています。
ポイント
麻酔の効果が弱まり始めているため、wear offを使います。
This painkiller .
和訳
この鎮痛剤は私にはよく効きます。
ポイント
自分にとって効果が高いことを表すため、works well for meが自然です。
まとめ
薬が「効く」と言うとき、英語では効果の状態によって表現が変わります。
- work:薬に効果がある
- start working:薬が効き始める
- kick in:薬が効いてくる
- take effect:薬の効果が現れる
- wear off:薬の効果が切れてくる
まずは、次の3文を覚えておくとよいでしょう。
- This medicine works well.
この薬はよく効きます。 - The medicine is kicking in.
薬が効いてきました。 - The medicine is wearing off.
薬の効果が切れてきました。
また、「よく効く」と「作用が強い」は必ずしも同じではありません。
- works well for me:私にはよく効く
- a strong painkiller:作用の強い鎮痛剤
薬に効果があるのか、効き始めたのか、効果が切れてきたのかを考えると、場面に合った表現を選びやすくなります。
英語で考える日本語の「きく」シリーズ
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