日本語の「完全な」は、さまざまな意味で使われます。
「必要なものが全部そろっている」「欠点がまったくない」「完全に間違っている」のように、同じ「完全」という言葉でも意味は少しずつ違います。
英語で代表的な表現には、complete、perfect、absolute があります。
どれも日本語では「完全な」と訳されることがありますが、3語は同じ意味ではありません。
complete は「必要な部分がすべてそろっている」、perfect は「欠点がなく理想的である」、absolute は「程度や範囲に例外・制限がない」という意味を中心に持っています。
今回は、現代英語でよく使われる表現や慣用的な組み合わせも含めて、complete・perfect・absolute の違いを整理してみましょう。
- まずは3語の違いをざっくり確認
- complete ― 必要なものが全部そろった「完全な」
- complete は「完成した」という意味にもなる
- complete は動詞としても使える
- a complete stranger ―「まったく知らない人」
- complete nonsense ―「まったくのでたらめ」
- perfect ― 欠点がなく「理想的な」
- complete と perfect の違い
- perfect for ... ―「〜にぴったり」
- Perfect! ― 会話では「それでOK!」
- Nobody's perfect. ―「完璧な人はいない」
- Practice makes perfect. ―「練習すれば上達する」
- a perfect match ―「相性ぴったり」
- perfect timing ―「絶妙なタイミング」
- absolute ― 程度・範囲に例外がない「完全な」
- absolute は何にでも使える「完全な」ではない
- absolute certainty ―「絶対的な確信」
- absolute power ―「絶対的な権力」
- absolute beginner ―「まったくの初心者」
- absolute disaster ―「完全な大失敗」
- absolute nonsense ―「まったくのでたらめ」
- absolute zero ―「絶対零度」
- absolute と absolutely の関係
- complete と absolute はどちらも「まったくの」になることがある
- 3語を同じ場面で比べてみよう
- よく使う表現をまとめて覚えよう
- ミニクイズ
- まとめ
まずは3語の違いをざっくり確認
| 単語 | 中心となる意味 | イメージ |
|---|---|---|
| complete | 必要なものが全部そろっている | 欠けている部分がない |
| perfect | 欠点がなく理想的である | これ以上直す必要がない |
| absolute | 完全な・絶対的な | 例外・制限・程度の弱まりがない |
まずは、次のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
complete = 全部そろっている
perfect = 欠点がなく理想的
absolute = 程度・範囲が完全で例外がない
complete ― 必要なものが全部そろった「完全な」
complete は、必要な部分・要素・情報などがすべてそろい、欠けているものがない状態を表します。
This is a complete set of the books.
訳:これはその本の全巻セットです。
必要な本がすべてそろっているので complete が自然です。
Please provide a complete list of the participants.
訳:参加者の完全な一覧を提出してください。
一部だけではなく、必要な名前がすべて含まれている一覧を意味します。
The report is now complete.
訳:報告書はこれで完成です。
必要な内容がすべてそろい、作業が終わった状態を表しています。
complete は「完成した」という意味にもなる
complete は、「全部そろっている」から転じて、「完成している」「完了している」という意味でも使われます。
The project is almost complete.
訳:そのプロジェクトはほぼ完成しています。
作業が終わりに近づき、完成した状態になろうとしていることを表しています。
ここで重要なのは、complete は「質が最高」という意味ではないということです。
たとえば、報告書が complete でも、内容に間違いがある可能性はあります。
つまり、
complete = 必要な部分が全部ある
のであって、必ずしも、
complete = 欠点がない
ではありません。
complete は動詞としても使える
complete は形容詞だけでなく、動詞として「完成させる・完了する」という意味でも非常によく使われます。
Please complete the form.
訳:その用紙に必要事項を記入してください。
フォームに必要な情報をすべて記入して完成させる、という意味です。
We completed the project ahead of schedule.
訳:私たちは予定より早くプロジェクトを完了しました。
complete a project は「プロジェクトを完了する」という自然な組み合わせです。
a complete stranger ―「まったく知らない人」
complete は、「全部そろった」だけでなく、名詞によっては「まったくの・完全な」と強調する働きもあります。
He was a complete stranger to me.
訳:彼は私にとってまったく知らない人でした。
a complete stranger は「まったくの他人・まったく知らない人」というよく使われる表現です。
complete nonsense ―「まったくのでたらめ」
That’s complete nonsense.
訳:それはまったくのでたらめです。
ここでの complete は「完全な」という強調の意味で使われています。
complete nonsense、complete failure、complete surprise などでは、「完全に・まったく」という意味合いが強くなります。
perfect ― 欠点がなく「理想的な」
perfect は、欠点・間違い・不足などがなく、理想的な状態にあることを表します。
complete が「全部ある」ことに注目するのに対して、perfect は質の高さや理想との一致に注目します。
Your answer is perfect.
訳:あなたの答えは完璧です。
不足しているだけでなく、間違いもなく理想的な答えなので perfect が自然です。
The weather was perfect for our trip.
訳:旅行には最高の天気でした。
旅行という目的にとって理想的な天候だった、という意味です。
This room is perfect for a home office.
訳:この部屋は自宅の仕事部屋にぴったりです。
perfect for … は「〜にぴったり・最適」という非常によく使われる表現です。
complete と perfect の違い
complete と perfect の違いは、英語学習者にとって特に重要です。
The report is complete.
訳:報告書は完成しています。
必要な部分がすべてそろっている、という意味です。
The report is perfect.
訳:その報告書は完璧です。
内容・構成・表現などにほとんど欠点がない、という評価です。
つまり、
complete → 何かが欠けていない
perfect → 何かが悪くない・欠点がない
という違いがあります。
報告書が complete but not perfect、つまり「完成しているが完璧ではない」ということも十分ありえます。
perfect for … ―「〜にぴったり」
perfect は、日常会話では「完璧」という非常に強い意味だけでなく、「目的にぴったり」という意味で非常によく使われます。
This bag is perfect for traveling.
訳:このバッグは旅行にぴったりです。
旅行という目的に非常によく合っているという意味です。
Sunday would be perfect for me.
訳:私は日曜日ならちょうどいいです。
日程の調整でも perfect は「それで理想的・ちょうどいい」という意味で自然に使われます。
Perfect! ― 会話では「それでOK!」
Perfect! は、日常会話で単独でもよく使われます。
“Let’s meet at ten.”
“Perfect!”
訳:「10時に会いましょう」「それでばっちりです!」
この場合、「欠点が一つもない」という厳密な意味ではなく、「それでいい」「ちょうどいい」という軽い肯定です。
現代の日常英語では非常によく耳にする使い方です。
Nobody’s perfect. ―「完璧な人はいない」
Nobody’s perfect.
訳:完璧な人なんていません。
人は誰でも間違いや欠点を持っている、という意味の定番表現です。
Practice makes perfect. ―「練習すれば上達する」
perfect を含む有名な表現に Practice makes perfect. があります。
Practice makes perfect.
訳:練習すれば上達します。/習うより慣れろ。
直訳すると「練習が完璧を作る」です。繰り返し練習することで技術が向上する、という意味です。
a perfect match ―「相性ぴったり」
Those two are a perfect match.
訳:あの2人は相性ぴったりです。
a perfect match は、人・物・色・組み合わせなどが非常によく合うことを表します。
perfect timing ―「絶妙なタイミング」
Perfect timing! I was just about to call you.
訳:ちょうどいいタイミング! 今あなたに電話しようとしていたところです。
perfect timing は「絶妙なタイミング・ちょうどいいタイミング」という自然な表現です。
absolute ― 程度・範囲に例外がない「完全な」
absolute は、「絶対的な」「完全な」「まったくの」という意味を持ちます。
complete のように「部品や内容が全部そろっている」という意味でも、perfect のように「欠点がない」という意味でもありません。
absolute は、程度・範囲・状態に例外や制限がないことを強調します。
We need absolute certainty.
訳:私たちには絶対的な確信が必要です。
少しの疑いもない確信を表しているので absolute が自然です。
The room was in absolute silence.
訳:部屋は完全な静寂に包まれていました。
少しの音もないほどの静けさを強調しています。
He has absolute confidence in his team.
訳:彼はチームを全面的に信頼しています。
疑いのない完全な信頼・確信という意味です。
absolute は何にでも使える「完全な」ではない
absolute は強い単語ですが、だからといって complete や perfect の代わりに自由に使えるわけではありません。
たとえば、
a complete set
= 全部そろったセット
は自然ですが、同じ意味で an absolute set とは普通言いません。
また、
a perfect answer
= 完璧な答え
は自然ですが、「間違いがまったくない答え」という意味で単純に an absolute answer に置き換えることもできません。
absolute は、特定の名詞との組み合わせを覚えることが大切です。
absolute certainty ―「絶対的な確信」
There is no absolute certainty in life.
訳:人生に絶対的な確実性はありません。
absolute certainty は「一点の疑いもない確実性」を表します。
absolute power ―「絶対的な権力」
No one should have absolute power.
訳:誰も絶対的な権力を持つべきではありません。
制限や抑制を受けない権力なので absolute が使われています。
absolute beginner ―「まったくの初心者」
absolute は、人や状況について「まったくの」という強調にも使われます。
This course is designed for absolute beginners.
訳:このコースはまったくの初心者向けです。
absolute beginner は「知識や経験がほとんどない完全な初心者」という意味で、語学学習や教材でもよく見かけます。
absolute disaster ―「完全な大失敗」
The event was an absolute disaster.
訳:そのイベントは完全な大失敗でした。
ここでの absolute は「まったくの・紛れもない」という強い強調表現です。
absolute nonsense ―「まったくのでたらめ」
That’s absolute nonsense.
訳:それはまったくのでたらめです。
absolute nonsense は「完全なでたらめ・まったくばかげた話」という強い表現です。
先ほどの complete nonsense と意味が重なる部分があります。
That’s complete nonsense.
That’s absolute nonsense.
はどちらも「まったくのでたらめだ」と言えますが、absolute のほうが「一点の余地もなく」という強い断定を感じさせることがあります。
absolute zero ―「絶対零度」
absolute には、日常的な強調だけでなく、専門用語で使われる意味もあります。
Absolute zero is the lowest possible temperature.
訳:絶対零度は理論上もっとも低い温度です。
absolute zero は「絶対零度」という科学用語です。
absolute と absolutely の関係
absolute の副詞は absolutely です。
absolutely は現代の日常英語でも非常によく使われます。
You’re absolutely right.
訳:あなたはまったくそのとおりです。
absolutely right で「完全に正しい・まったくそのとおり」という意味になります。
I absolutely agree.
訳:まったく同感です。
強い同意を表す自然な会話表現です。
Absolutely! ―「もちろん!」「そのとおり!」
“Can I join you?”
“Absolutely!”
訳:「一緒に行ってもいい?」「もちろん!」
Absolutely! は、強く肯定するときに単独でも非常によく使われます。
complete と absolute はどちらも「まったくの」になることがある
complete と absolute は、名詞を強調するときには意味が重なることがあります。
It was a complete surprise.
訳:それはまったく予想外でした。
予想していた部分がまったくなかったことを表しています。
It was an absolute surprise.
訳:それはまったくの驚きでした。
文脈によっては absolute でも強い驚きを表せますが、名詞によって自然な組み合わせが異なります。
英語では、単語の意味だけでなくどの名詞とよく組み合わされるかも重要です。
3語を同じ場面で比べてみよう
3語の違いを、仕事の「報告書」を例に考えてみましょう。
The report is complete.
訳:報告書は完成しています。
必要な項目がすべてそろっています。
The report is perfect.
訳:その報告書は完璧です。
内容や品質に欠点がないという評価です。
absolute はこの場面で、単純に The report is absolute. とは言いません。
absolute は、それ自体で「完全な報告書」を意味するのではなく、
absolute certainty
absolute silence
absolute power
absolute beginner
のように、特定の名詞と組み合わせて「程度に例外がない」ことを表します。
よく使う表現をまとめて覚えよう
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| a complete set | 全部そろったセット |
| complete the task | 作業を完了する |
| a complete stranger | まったく知らない人 |
| complete nonsense | まったくのでたらめ |
| perfect for … | 〜にぴったり |
| a perfect match | 相性ぴったり |
| perfect timing | 絶妙なタイミング |
| Nobody’s perfect. | 完璧な人はいない |
| absolute certainty | 絶対的な確信 |
| absolute beginner | まったくの初心者 |
| absolute nonsense | まったくのでたらめ |
| absolute power | 絶対的な権力 |
| Absolutely! | もちろん!/そのとおり! |
ミニクイズ
次の( )に入るもっとも自然な語を、complete・perfect・absolute から選んでみましょう。必要に応じて形を変えてください。
Q1. We finally have a list of all the members.
訳:ようやく全メンバーの完全な一覧がそろいました。
解説:必要な名前がすべて含まれているので complete が自然です。
Q2. This room is for a small office.
訳:この部屋は小さなオフィスにぴったりです。
解説:perfect for … は「〜にぴったり・最適」という頻出表現です。
Q3. We need certainty before making the decision.
訳:決定を下す前に絶対的な確信が必要です。
解説:少しの疑いもない確信を表すので absolute certainty が自然です。
Q4. The project is almost .
訳:そのプロジェクトはほぼ完成しています。
解説:作業が完了した状態を表すので complete が自然です。
Q5. The weather was for hiking.
訳:ハイキングには最高の天気でした。
解説:ハイキングという目的に理想的な天気なので perfect が自然です。
Q6. That’s nonsense.
訳:それはまったくのでたらめです。
解説:absolute nonsense は「まったくのでたらめ」という強い表現です。
Q7. He was a stranger to me.
訳:彼は私にとってまったく知らない人でした。
解説:a complete stranger は「まったく知らない人」という定番表現です。
Q8. This course is suitable for beginners.
訳:このコースはまったくの初心者に適しています。
解説:absolute beginner は「まったくの初心者」というよく使われる表現です。
Q9. Your answer is .
訳:あなたの答えは完璧です。
解説:間違いや欠点がなく理想的な答えなので perfect が自然です。
Q10. No one should have power.
訳:誰も絶対的な権力を持つべきではありません。
解説:制限を受けない絶対的な権力を意味するので absolute power が自然です。
まとめ
「完全な」を表す complete・perfect・absolute は、何を「完全」と考えているのかによって使い分けます。
- complete = 必要な部分や要素がすべてそろっていて、欠けていない
- perfect = 欠点や間違いがなく、理想的である
- absolute = 程度・範囲に例外や制限がなく、完全・絶対的である
complete = 全部そろっている
perfect = 欠点がない
absolute = 例外や程度の弱まりがない
たとえば、
The report is complete.
= 必要な内容がすべてそろい、報告書は完成している
The report is perfect.
= 内容や品質に欠点がなく、報告書は完璧である
We need absolute certainty.
= 少しの疑いもない絶対的な確信が必要である
という違いがあります。
特に、absolute は complete や perfect の強い言い換えではありません。
absolute certainty、absolute power、absolute beginner、absolute nonsense のように、自然な組み合わせで覚えることが大切です。
また、日常会話では Perfect! が「それでOK!」「ばっちり!」、Absolutely! が「もちろん!」「そのとおり!」という意味で単独でもよく使われます。
日本語の「完全な」を見たら、
「全部そろっている」のか、「欠点がない」のか、それとも「程度や範囲に例外がない」のか
を考えてみましょう。
この違いがわかると、complete・perfect・absolute をかなり自然に使い分けられるようになります。