日本語の「危険」は、かなり幅広く使える言葉です。
「危険な状態にある」「事故の危険がある」「床に置かれたコードが危険だ」のように、どれも日本語では「危険」と表現できます。
ところが英語では、何を「危険」として見ているのかによって、使う単語が変わります。
代表的なのが danger、risk、hazard です。
3語とも日本語では「危険」と訳されますが、中心となる考え方は同じではありません。
danger は「人や物が害を受けるおそれのある危険な状態」、risk は「悪い結果が起こる可能性」、hazard は「危険を引き起こす原因・要因」を表すのが基本です。
今回は、日常英語だけでなく、ニュース・医療・仕事・安全表示などでもよく使われる表現を取り上げながら、danger・risk・hazard の違いを整理してみましょう。
- まずは3語の違いをざっくり確認
- danger ― 人や物が害を受ける「危険」
- in danger ―「危険な状態にある」
- in danger と dangerous は違う
- pose a danger to ... ―「〜に危険をもたらす」
- risk ― 悪い結果が起こる「可能性」
- risk of ... ―「〜の危険性」
- at risk ―「危険にさらされて」
- in danger と at risk の違い
- take a risk ―「リスクを取る」
- run the risk of ... ―「〜する危険を冒す」
- at your own risk ―「自己責任で」
- risk は動詞としても使える
- hazard ― 危険を生み出す「原因・要因」
- hazard と risk の違いが重要
- danger・risk・hazard を1つの場面で比べてみよう
- safety hazard ―「安全上の危険要因」
- fire hazard ―「火災の危険要因」
- health hazard ―「健康上の危険要因」
- occupational hazard ―「職業上避けにくい危険」
- hazardous ―「危険な・有害な」
- dangerous・risky・hazardous の関係
- hazard lights の hazard は?
- hazard a guess ― hazard の意外な使い方
- よく使う表現をまとめて覚えよう
- ミニクイズ
- まとめ
まずは3語の違いをざっくり確認
| 単語 | 中心となる意味 | イメージ |
|---|---|---|
| danger | 害を受けるおそれのある危険な状態 | 危険が迫っている |
| risk | 悪いことが起こる可能性 | どのくらい起こりそうか |
| hazard | 危険を引き起こす原因・要因 | 危険のもと |
まずは、次のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
danger = 危険な状態
risk = 悪い結果が起きる可能性
hazard = 危険を生み出す原因
danger ― 人や物が害を受ける「危険」
danger は、人や物が傷ついたり、損害を受けたりする可能性のある危険な状態を表します。
「今まさに危険が迫っている」という場面にも使えますが、必ずしも危険がすでに現実になっている必要はありません。
The children were in danger.
訳:その子どもたちは危険な状態にありました。
子どもたち自身が害を受ける可能性のある状態に置かれているので danger が自然です。
The building is in danger of collapsing.
訳:その建物は崩壊する危険があります。
be in danger of doing で「〜する危険がある」という意味です。
His life was in danger.
訳:彼の命は危険にさらされていました。
one’s life is in danger は、生命に危険がある場面でよく使われます。
in danger ―「危険な状態にある」
in danger は、danger を使ったもっとも基本的な表現の一つです。
The hikers realized they were in danger.
訳:ハイカーたちは自分たちが危険な状況にいることに気づきました。
人そのものが危険にさらされているので in danger を使います。
反対に、危険な状態を脱した場合には out of danger と言います。
The doctor said that she was out of danger.
訳:医師は、彼女はもう危険な状態を脱したと言いました。
out of danger は「危険を脱して・危険な状態ではなくなって」という定番表現です。
in danger と dangerous は違う
ここは英語学習者が特に間違えやすいポイントです。
in danger は「危険にさらされている」、dangerous は「危険を引き起こす可能性がある」という違いがあります。
The boy is in danger.
訳:その少年は危険な状態にあります。
少年自身が危険にさらされています。
The road is dangerous.
訳:その道路は危険です。
その道路が事故などの危険を引き起こす可能性がある、という意味です。
つまり、
in danger = 危険を受ける側
dangerous = 危険を与える側
と考えるとわかりやすいでしょう。
pose a danger to … ―「〜に危険をもたらす」
pose a danger to … は、「〜に危険をもたらす」という少しフォーマルな表現です。
The fire poses a serious danger to nearby homes.
訳:その火災は近隣の住宅に深刻な危険をもたらしています。
pose a danger to … は、ニュースや報告書などでもよく使われます。
似た表現に pose a threat to … もあります。
risk ― 悪い結果が起こる「可能性」
risk は、事故・病気・損失・失敗などの望ましくない結果が起きる可能性を表します。
danger が「危険な状態」に焦点を当てるのに対し、risk は悪いことが起こる可能性・見込みに焦点があります。
There is a risk of flooding.
訳:洪水が起こる危険性があります。
洪水がまだ発生しているわけではなく、発生する可能性について述べているので risk が自然です。
Smoking increases the risk of heart disease.
訳:喫煙は心臓病のリスクを高めます。
病気になる可能性が高くなることを表しているので risk を使います。
There is always some risk involved.
訳:常に多少のリスクは伴います。
悪い結果になる可能性が完全にはなくならない、という意味です。
risk of … ―「〜の危険性」
risk of … は、ニュース・医療・ビジネスなどで非常によく使われます。
Regular exercise can reduce the risk of diabetes.
訳:定期的な運動は糖尿病のリスクを下げることがあります。
reduce the risk of … で「〜の危険性・リスクを減らす」という意味です。
よく使われる組み合わせには、
increase the risk of … = 〜のリスクを高める
reduce the risk of … = 〜のリスクを下げる
the risk of injury = けがのリスク
the risk of infection = 感染のリスク
などがあります。
at risk ―「危険にさらされて」
at risk は、「悪い結果を受ける可能性がある」「危険にさらされている」という意味です。
Older people may be more at risk.
訳:高齢者はよりリスクが高い可能性があります。
at risk は、医療・災害・社会問題など幅広い場面で使われます。
The village is at risk of flooding.
訳:その村は洪水の危険にさらされています。
be at risk of … で「〜の危険がある」という意味です。
in danger と at risk の違い
in danger と at risk は、日本語ではどちらも「危険にさらされている」と訳せます。
ただし、ニュアンスには違いがあります。
The climbers are in danger.
訳:登山者たちは危険な状態です。
危険が比較的差し迫っていることを感じさせます。
Climbers are at risk of hypothermia in these conditions.
訳:この状況では登山者は低体温症になるリスクがあります。
ある悪い結果が起こる可能性に注目しています。
大まかにいえば、
in danger = 危険な状態にいる
at risk = 悪い結果が起こる可能性がある
と考えるとよいでしょう。
take a risk ―「リスクを取る」
take a risk は、悪い結果になる可能性を承知したうえで何かをすることを表します。
Sometimes you have to take a risk.
訳:時にはリスクを取らなければならないこともあります。
成功が保証されていないことに挑戦する場面などで使われます。
He took a big risk by leaving his job.
訳:彼は仕事を辞めることで大きなリスクを取りました。
結果がどうなるかわからない選択をしたことを表しています。
run the risk of … ―「〜する危険を冒す」
run the risk of … は、「〜という悪い結果になる危険がある・その危険を冒す」という定番表現です。
If you drive that fast, you run the risk of having an accident.
訳:そんなに速く運転すると、事故を起こす危険があります。
run the risk of doing で「〜する危険を冒す」という意味になります。
at your own risk ―「自己責任で」
at your own risk は、標識・注意書き・サービスの案内などでもよく目にする表現です。
Swim at your own risk.
訳:泳ぐ場合は自己責任でお願いします。
危険を承知したうえで、自分の責任で行うという意味です。
risk は動詞としても使える
risk は名詞だけでなく、動詞として「〜を危険にさらす」「危険を承知で〜する」という意味でも使えます。
He risked his life to save the child.
訳:彼はその子どもを救うために命を危険にさらしました。
risk one’s life は「命を危険にさらす」という頻出表現です。
We can’t risk losing this customer.
訳:この顧客を失う危険を冒すわけにはいきません。
risk doing のように、risk の後ろには動名詞が続きます。
risk to lose ではなく、risk losing となる点にも注意しましょう。
hazard ― 危険を生み出す「原因・要因」
hazard は、事故・けが・病気などを引き起こす可能性のある物・状況・環境を表します。
つまり、「危険そのもの」というより、危険のもとです。
Wet floors are a safety hazard.
訳:濡れた床は安全上の危険要因です。
濡れた床そのものが転倒の原因になり得るので hazard が自然です。
These chemicals can be a health hazard.
訳:これらの化学物質は健康上の危険要因になることがあります。
健康被害を引き起こす原因になり得るため hazard を使います。
Loose cables are a trip hazard.
訳:ゆるんだケーブルはつまずく危険要因になります。
trip hazard は「つまずきの原因になる危険物・障害物」を表す実用的な表現です。
hazard と risk の違いが重要
安全管理の分野では、hazard と risk は特に明確に区別されます。
たとえば、床に水がこぼれているとします。
The wet floor is a hazard.
= 濡れた床が危険の原因
There is a risk of slipping.
= すべって転ぶ可能性がある
つまり、
hazard = 何が危険なのか
risk = その危険によって何が起こる可能性があるのか
という関係です。
danger・risk・hazard を1つの場面で比べてみよう
同じ「濡れた床」を例にすると、3語の違いがよくわかります。
The wet floor is a hazard.
訳:濡れた床は危険要因です。
濡れた床そのものが、事故を引き起こす原因です。
There is a risk of slipping.
訳:すべる危険性があります。
実際に転ぶかどうかはわかりませんが、その可能性があります。
A child running on the wet floor could be in danger.
訳:濡れた床を走っている子どもは危険な状態になり得ます。
子ども自身が害を受ける危険な状況に置かれています。
この3つを整理すると、
hazard → 危険の原因
risk → 事故が起こる可能性
danger → 人が置かれている危険な状態
となります。
safety hazard ―「安全上の危険要因」
Boxes left in the hallway are a safety hazard.
訳:廊下に置かれた箱は安全上の危険要因です。
safety hazard は、事故につながる危険物・危険な状態を表す一般的な表現です。
fire hazard ―「火災の危険要因」
Overloaded electrical outlets can be a fire hazard.
訳:電気コンセントの過負荷は火災の原因になることがあります。
fire hazard は、「火災を引き起こす危険要因」を表します。
health hazard ―「健康上の危険要因」
Secondhand smoke is a health hazard.
訳:受動喫煙は健康上の危険要因です。
健康被害を引き起こす可能性のあるものを health hazard と表せます。
occupational hazard ―「職業上避けにくい危険」
occupational hazard は、本来「職業上の危険」を意味します。
Back pain can be an occupational hazard for people who lift heavy objects.
訳:重い物を持ち上げる仕事をする人にとって、腰痛は職業上の危険になり得ます。
特定の仕事に伴う危険や問題を表しています。
日常会話では、仕事にどうしてもつきまとう面倒なことを、少し冗談めかして occupational hazard と呼ぶこともあります。
hazardous ―「危険な・有害な」
hazard の形容詞は hazardous です。
The roads are hazardous in icy conditions.
訳:路面が凍結しているとき、その道路は危険です。
hazardous は、事故や健康被害を引き起こす可能性のある状態について使われます。
Hazardous waste must be handled carefully.
訳:有害廃棄物は慎重に取り扱わなければなりません。
hazardous waste は「有害廃棄物」という定番表現です。
dangerous・risky・hazardous の関係
名詞の danger・risk・hazard に対応する形容詞も整理しておきましょう。
| 名詞 | 形容詞 | 中心イメージ |
|---|---|---|
| danger | dangerous | 実際に害を与える可能性がある |
| risk | risky | 悪い結果になる可能性がある |
| hazard | hazardous | 危険要因を含んでいる・有害である |
It’s dangerous to swim here.
訳:ここで泳ぐのは危険です。
実際にけがや事故につながる危険があります。
Investing all your money in one company is risky.
訳:全財産を1社に投資するのはリスクがあります。
悪い結果になる可能性があるので risky が自然です。
Workers must wear protective clothing when handling hazardous chemicals.
訳:危険な化学物質を扱うとき、作業員は防護服を着用しなければなりません。
健康被害を引き起こす可能性のある物質なので hazardous が使われます。
hazard lights の hazard は?
日本語でも車の「ハザード」という言葉を使います。
英語では、一般に hazard lights や hazard warning lights と呼ばれます。
Turn on your hazard lights.
訳:ハザードランプをつけてください。
ほかの道路利用者に、車両や周囲に通常とは異なる危険な状況があることを知らせるためのライトです。
hazard a guess ― hazard の意外な使い方
hazard は動詞として使われることもあります。
少し意外ですが、hazard a guess は「確信はないが推測してみる」という意味です。
If I had to hazard a guess, I’d say he’s about forty.
訳:あえて推測するなら、彼は40歳くらいだと思います。
hazard a guess は「間違うかもしれないというリスクを承知で推測する」というイメージの表現です。
日常会話の基本語ではありませんが、文章や少し洗練された会話で見かけることがあります。
よく使う表現をまとめて覚えよう
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| in danger | 危険な状態にある |
| out of danger | 危険を脱している |
| in danger of … | 〜する危険がある |
| pose a danger to … | 〜に危険をもたらす |
| at risk | 危険にさらされている |
| risk of … | 〜のリスク・危険性 |
| take a risk | リスクを取る |
| run the risk of … | 〜する危険を冒す |
| at your own risk | 自己責任で |
| risk one’s life | 命を危険にさらす |
| safety hazard | 安全上の危険要因 |
| fire hazard | 火災の危険要因 |
| health hazard | 健康上の危険要因 |
| occupational hazard | 職業上の危険 |
| hazard a guess | あえて推測してみる |
ミニクイズ
次の( )に入るもっとも自然な語を、danger・risk・hazard から選んでみましょう。必要に応じて形を変えてください。
Q1. The children were in .
訳:その子どもたちは危険な状態にありました。
解説:in danger は「危険な状態にある」という定番表現です。
Q2. Smoking increases the of heart disease.
訳:喫煙は心臓病のリスクを高めます。
解説:病気になる「可能性」が高まるので risk が自然です。
Q3. The wet floor is a safety .
訳:濡れた床は安全上の危険要因です。
解説:濡れた床そのものが転倒を引き起こす原因になるため hazard が自然です。
Q4. The doctor said she was finally out of .
訳:医師は彼女がようやく危険な状態を脱したと言いました。
解説:out of danger は「危険を脱して」という定番表現です。
Q5. There is a of flooding after the heavy rain.
訳:大雨のあと、洪水が起こる危険性があります。
解説:洪水が発生する「可能性」について述べているので risk が自然です。
Q6. Loose electrical wires can be a fire .
訳:むき出しの電線は火災の危険要因になることがあります。
解説:fire hazard は「火災を引き起こす危険要因」という定番表現です。
Q7. Sometimes you have to take a .
訳:時にはリスクを取らなければならないこともあります。
解説:take a risk は「悪い結果になる可能性を承知して挑戦する」という定番表現です。
Q8. The village is in because of the wildfire.
訳:その村は山火事のため危険な状態にあります。
解説:村が現実に危険にさらされているので danger が自然です。
Q9. Hazardous chemicals can be a serious health .
訳:有害な化学物質は深刻な健康上の危険要因になり得ます。
解説:健康被害を引き起こす原因を表しているので hazard が自然です。
Q10. You use this equipment at your own .
訳:この機器の使用は自己責任です。
解説:at your own risk は「危険を承知のうえで自己責任で」という定番表現です。
まとめ
「危険」を表す danger・risk・hazard は、何を「危険」として見ているのかを考えると使い分けやすくなります。
- danger = 人や物が害を受ける可能性のある危険な状態
- risk = 事故・病気・損失など、悪い結果が起こる可能性
- hazard = 事故や健康被害などを引き起こす原因・要因
danger = 危険な状態
risk = 悪いことが起こる可能性
hazard = 危険の原因
たとえば濡れた床なら、
The wet floor is a hazard.
= 濡れた床そのものが危険要因
There is a risk of slipping.
= すべる可能性がある
A person walking there could be in danger.
= そこを歩く人が危険な状態になり得る
という違いがあります。
また、in danger、at risk、safety hazard のように、3語にはそれぞれよく使われる組み合わせがあります。
特に hazard と risk の違いは、安全管理や医療、ニュースを理解するうえでも重要です。
hazard は「危険のもと」、risk は「その危険によって悪い結果が起こる可能性」と考えると整理しやすくなります。
日本語の「危険」を見たら、
「危険な状態」なのか、「悪い結果が起きる可能性」なのか、それとも「危険を生み出す原因」なのか
を考えてみましょう。
この違いがわかると、danger・risk・hazard をかなり自然に使い分けられるようになります。