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英語の使い分け

duty・obligation・liability の違い ―「義務」の英語表現を使い分けよう

日本語の「義務」は、仕事上の義務、道徳的な義務、契約上の義務、法律上の責任など、かなり幅広い意味で使われます。

英語では、何によってその「義務」が生じているのか、そして何に重点を置いているのかによって表現が変わります。

今回取り上げるのは duty、obligation、liability です。

ただし、最初に重要なことを確認しておきましょう。

liability は、duty や obligation と単純に同じ意味の「義務」ではありません。

duty は「立場・役割・道徳から生じる、するべきこと」、obligation は「法律・契約・約束などによって拘束されていること」、そして liability は「損害・債務などについて法的・金銭的に責任を負うこと」を表すのが基本です。

つまり、今回の3語は、

何をしなければならないのかを表す duty・obligation と、問題が起きたとき誰が責任を負うのかを表す liability に分けて考えると理解しやすくなります。

今回は、現代英語でよく使われるコロケーションや法律・ビジネスで頻出する表現も含めて、3語の違いを整理してみましょう。

まずは3語の違いをざっくり確認

単語 中心となる意味 イメージ
duty 立場・役割としてするべきこと 「自分の役目だからする」
obligation 法律・契約・約束などによる拘束 「しなければならない」
liability 法的・金銭的な責任 「問題が起きたら責任を負う」

まずは、次のように覚えておくとよいでしょう。

duty = 役割として果たすべきこと
obligation = 拘束されて負っている義務
liability = 損害・債務などに対する法的・金銭的責任

duty ― 立場や役割から生じる「義務・務め」

duty は、自分の仕事・立場・役割・道徳観などから、「自分がするべきこと」と考えられているものを表します。

日本語では「義務」だけでなく、「務め」「職務」「役目」と訳すと自然なことも多い語です。

It is my duty to protect my patients.

訳:患者を守ることは私の務めです。

医療従事者としての立場・役割から生じる責任なので duty が自然です。

Parents have a duty to care for their children.

訳:親には子どもを世話する義務があります。

親という立場から生じる当然の務めとして duty が使われています。

I felt it was my duty to tell her the truth.

訳:彼女に真実を話すのが自分の務めだと感じました。

法律や契約に強制されているのではなく、道徳的に「自分はそうするべきだ」と感じています。

a duty to do ―「〜する義務・務め」

duty は、a duty to do の形でよく使われます。

Doctors have a duty to keep patient information confidential.

訳:医師には患者情報を秘密にしておく義務があります。

職業上の役割や倫理から求められる行動なので duty が自然です。

よく使われる形は、

have a duty to do = 〜する義務がある
it is someone’s duty to do = 〜するのは人の務めである

です。

perform・carry out one’s duties ―「職務を果たす」

duty は仕事上の「職務」という意味でも非常によく使われます。

Employees are expected to carry out their duties responsibly.

訳:従業員は責任を持って職務を果たすことが求められています。

carry out one’s duties は「職務を遂行する」という自然な表現です。

She performed her duties with great care.

訳:彼女は非常に注意深く職務を遂行しました。

perform one’s duties も「職務を果たす」という少しフォーマルな表現です。

on duty・off duty ―「勤務中・非番」

duty を使った非常に実用的な表現が、on duty と off duty です。

There’s a doctor on duty all night.

訳:一晩中、当直の医師がいます。

on duty は「勤務中・当番中」という意味です。

I’m off duty after six.

訳:6時以降は勤務時間外です。

off duty は「非番・勤務時間外」という意味です。

sense of duty ―「義務感」

He stayed to help out of a sense of duty.

訳:彼は義務感から残って手伝いました。

a sense of duty は、「自分はこれをするべきだ」という責任感・義務感を表します。

civic duty ―「市民としての義務」

duty は、社会的・道徳的な務めについても自然に使われます。

Many people consider voting a civic duty.

訳:多くの人は投票を市民としての義務だと考えています。

civic duty は「市民として果たすべき務め」という意味です。

obligation ― 外から課される「義務・拘束」

obligation は、法律・契約・約束・規則・社会的関係などによって、「しなければならない状態」にあることを表します。

duty よりも、外部からの拘束や約束によって義務が生じているという感覚が強くなることがあります。

We have a legal obligation to protect customer data.

訳:私たちには顧客データを保護する法的義務があります。

法律によって要求される義務なので legal obligation が自然です。

The company has an obligation to pay its employees on time.

訳:会社には従業員に期日どおり給与を支払う義務があります。

雇用関係・契約などによって負う具体的な義務を表しています。

You are under no obligation to buy anything.

訳:何かを購入する義務はありません。

be under no obligation to do は「〜する義務はない」という非常によく使われる表現です。

legal・contractual・moral obligation

obligation は、何がその義務を生じさせているのかを形容詞で明確に表すことができます。

legal obligation = 法的義務
contractual obligation = 契約上の義務
moral obligation = 道徳的義務
financial obligation = 金銭上の義務・支払い義務

The company must meet its contractual obligations.

訳:その会社は契約上の義務を果たさなければなりません。

meet one’s obligations は「義務を果たす」というビジネスや法律でよく使われる表現です。

fulfill an obligation ―「義務を果たす」

Both sides must fulfill their obligations under the agreement.

訳:双方がその契約に基づく義務を果たさなければなりません。

fulfill an obligation は「義務を履行する・果たす」という定番表現です。

meet an obligation と fulfill an obligation はどちらも使われます。

be under an obligation to do ―「〜する義務を負っている」

Employers are under an obligation to provide a safe workplace.

訳:雇用主には安全な職場を提供する義務があります。

be under an obligation to do は、「義務に拘束されて〜しなければならない」という少しフォーマルな表現です。

feel obligated to do ―「〜しなければならないと感じる」

obligation の関連語 obligated も現代英語でよく使われます。

I felt obligated to help him.

訳:私は彼を助けなければならないように感じました。

feel obligated to do は、法律上の義務とは限らず、恩義・状況・周囲の期待などから「しなければ」と感じる場合にも使われます。

You don’t have to feel obligated to stay.

訳:残らなければいけないと思わなくて大丈夫ですよ。

相手が心理的な義務感を持つ必要はない、と伝える自然な表現です。

duty と obligation の違い

duty と obligation は意味がかなり近く、同じ文脈で使える場合もあります。

ただし、中心となる視点には違いがあります。

As a doctor, she has a duty to care for her patients.

訳:医師として、彼女には患者をケアする務めがあります。

医師という職業・役割に伴う務めに焦点があるため duty が自然です。

The hospital has a legal obligation to protect patient records.

訳:病院には患者記録を保護する法的義務があります。

法律による具体的な拘束に焦点があるため obligation が自然です。

大まかにいえば、

duty → 「私の立場・役割だからするべき」
obligation → 「法律・契約・約束などによってしなければならない」

と考えるとよいでしょう。

ただし、moral duty と moral obligation のように、実際には意味が重なる場面もあります。

liability ― 「義務」よりも「責任」に近い

liability は今回の3語の中で性格が大きく異なります。

一般的な「〜しなければならない義務」というより、損害・事故・借金・支払いなどについて、法的または金銭的に責任を負うことを表します。

The company accepted liability for the accident.

訳:その会社は事故について法的責任を認めました。

事故によって生じた損害について誰が責任を負うのか、という意味なので liability を使います。

The landlord may be liable for the damage.

訳:家主がその損害について責任を負う可能性があります。

liable は liability の関連語で、be liable for … は「〜について法的責任を負う」という重要表現です。

The agreement limits the company’s liability.

訳:その契約は会社が負う責任の範囲を制限しています。

損害賠償などについて負う法的・金銭的責任の範囲なので liability が自然です。

legal liability ―「法的責任」

liability は法律関係の英語で頻出します。

The court will determine who has legal liability for the accident.

訳:裁判所が、その事故について誰に法的責任があるのかを判断します。

legal liability は「法的責任」という定番表現です。

be liable for … ―「〜について責任を負う」

You may be liable for any damage you cause.

訳:自分が引き起こした損害について責任を負う場合があります。

be liable for … は、「損害・費用・債務などについて法的または金銭的責任がある」という表現です。

よく使われる組み合わせには、

liable for damages = 損害賠償責任がある
liable for payment = 支払い義務・責任がある
liable for the cost = 費用負担の責任がある

などがあります。

liability insurance ―「賠償責任保険」

The business carries liability insurance.

訳:その会社は賠償責任保険に加入しています。

liability insurance は、事故などで第三者に損害を与え、賠償責任を負った場合に備える保険です。

limited liability ―「有限責任」

会社関係でよく見る表現に limited liability があります。

Shareholders generally benefit from limited liability.

訳:株主は通常、有限責任による保護を受けます。

limited liability は、負う金銭的責任に上限・制限があることを表します。

会社名で見かける Ltd. は Limited の略で、この「責任が限定される」という考え方と関係しています。

liabilities ― 会計では「負債」

liability は会計の世界では、「支払う義務のあるお金」、つまり負債という意味でも使われます。

The company’s liabilities exceed its assets.

訳:その会社は負債が資産を上回っています。

会計では assets and liabilities で「資産と負債」という定番の組み合わせになります。

tax liability ―「納税義務・税額負担」

Your tax liability depends on your income.

訳:納めるべき税額は所得によって変わります。

tax liability は単なる道徳的な「納税の義務」ではなく、法律上いくら税を負担する責任があるかという意味で使われます。

liability には「足手まとい・不利な存在」という意味もある

liability には、法律や会計とは別に、「役に立つどころか不利益になる人・物」という意味もあります。

His lack of experience could become a liability.

訳:彼の経験不足は不利な要因になるかもしれません。

ここでの liability は「法的責任」ではなく、「弱点・不利益をもたらすもの」という意味です。

At this point, the old system is more of a liability than an asset.

訳:現時点では、その古いシステムは資産というよりむしろ足かせになっています。

asset が「役立つ強み」であるのに対して、liability は「不利になる弱み」という対比でよく使われます。

duty・obligation・liability を同じ会社の場面で比べてみよう

顧客情報を扱う会社を例にすると、3語の役割がはっきりします。

Employees have a duty to handle customer data responsibly.

訳:従業員には顧客データを責任を持って扱う務めがあります。

従業員という立場・職務から求められる行動なので duty です。

The company has a legal obligation to protect customer data.

訳:会社には顧客データを保護する法的義務があります。

法律によって具体的に要求されているので obligation が自然です。

The company may face liability if customer data is leaked.

訳:顧客データが流出した場合、会社が法的責任を負う可能性があります。

義務を守らなかった結果として発生する法的・金銭的責任なので liability です。

つまり、

duty → 立場として何をすべきか
obligation → 法律・契約などによって何をしなければならないか
liability → 問題が起きた結果、誰が責任を負うのか

という違いがあります。

obligation と liability の違い

この2語は法律・ビジネスの文脈で一緒に現れることがあるため、特に区別しておきたい語です。

The seller has an obligation to deliver the goods by Friday.

訳:売り手には金曜日までに商品を届ける義務があります。

契約上「何をしなければならないか」を表しているので obligation です。

The seller may face liability for losses caused by the delay.

訳:売り手は遅延によって生じた損失について責任を負う可能性があります。

義務を果たさなかった結果として生じる法的・金銭的責任なので liability です。

obligation → するべきこと
liability → しなかった場合などに負う責任

と考えると、かなりわかりやすくなります。

「義務」なら responsibility も重要

日本語の「義務・責任」を英語にするときには、responsibility も非常に重要です。

It is your responsibility to keep the information secure.

訳:その情報を安全に管理するのはあなたの責任です。

responsibility は、自分が担当・管理・対応すべきことを幅広く表す語です。

大まかにいえば、

duty → 役割としての務め
obligation → 拘束力のある義務
responsibility → 自分が引き受けている責任・担当
liability → 法的・金銭的責任

と整理するとよいでしょう。

日本人学習者が特に注意したいポイント

1. liability は duty の言い換えではない

「義務」を見たからといって liability を使うわけではありません。

liability は主に、損害・債務・支払いなどについて負う法律上・金銭上の責任です。

2. duty は「義務」より「務め」と考えるとわかりやすい

a doctor’s duty、civic duty、carry out one’s duties のように、立場や役割と強く結びつきます。

3. obligation は「しなければならない」という拘束がポイント

法律・契約・約束による具体的な義務には obligation がよく使われます。

4. be liable for … は重要なまとまり

be liable for damages のように、「〜について法的・金銭的責任を負う」という意味で覚えておきましょう。

5. liability の複数形 liabilities は「負債」になることがある

会計では assets and liabilities で「資産と負債」です。

よく使う表現をまとめて覚えよう

表現 意味
have a duty to do 〜する義務・務めがある
carry out one’s duties 職務を遂行する
perform one’s duties 職務を果たす
on duty 勤務中・当番中
off duty 非番・勤務時間外
a sense of duty 義務感
legal obligation 法的義務
contractual obligation 契約上の義務
meet an obligation 義務を果たす
fulfill an obligation 義務を履行する
under no obligation to do 〜する義務はない
feel obligated to do 〜しなければならないと感じる
legal liability 法的責任
be liable for … 〜について責任を負う
liability insurance 賠償責任保険
limited liability 有限責任
tax liability 納税義務・税額負担
assets and liabilities 資産と負債

ミニクイズ

次の(   )に入るもっとも自然な語・表現を、duty・obligation・liability を中心に考えてみましょう。必要に応じて形を変えてください。

Q1. It is a doctor’s to care for patients.

訳:患者をケアするのは医師の務めです。

解説:医師という立場・役割から生じる「務め」なので duty が自然です。

Q2. The company has a legal to protect customer data.

訳:その会社には顧客データを保護する法的義務があります。

解説:法律による具体的な拘束なので legal obligation が自然です。

Q3. The company accepted for the accident.

訳:その会社は事故について法的責任を認めました。

解説:事故による損害について負う法的責任なので liability が自然です。

Q4. There is a nurse on all night.

訳:一晩中、勤務中の看護師がいます。

解説:on duty は「勤務中・当番中」という定番表現です。

Q5. You are under no to buy anything.

訳:何かを購入する義務はありません。

解説:be under no obligation to do は「〜する義務はない」という頻出表現です。

Q6. The driver may be for the damage.

訳:運転手がその損害について責任を負う可能性があります。

解説:be liable for … は「〜について法的・金銭的責任を負う」という重要表現です。

Q7. Both sides must their contractual obligations.

訳:双方が契約上の義務を果たさなければなりません。

解説:fulfill an obligation は「義務を履行する・果たす」という定番の組み合わせです。

Q8. He stayed late out of a sense of .

訳:彼は義務感から遅くまで残りました。

解説:a sense of duty は「自分はそうすべきだという義務感」を表します。

Q9. The business has insurance.

訳:その会社は賠償責任保険に加入しています。

解説:liability insurance は、第三者への損害賠償責任などに備える「賠償責任保険」です。

Q10. I felt to help because she had helped me before.

訳:以前彼女に助けてもらったので、今度は自分が助けなければならないと感じました。

解説:feel obligated to do は、恩義や状況などから「〜しなければならないと感じる」という自然な表現です。

使い分けをもう一度整理

こんなとき 使いやすい語 例
職業・役割上の務め duty a doctor’s duty
義務感 duty a sense of duty
勤務中・当番中 duty on duty
法律上の義務 obligation legal obligation
契約上の義務 obligation contractual obligation
義務を果たす obligation fulfill an obligation
損害についての法的責任 liability legal liability
〜について責任を負う liable be liable for damages
会社・会計上の負債 liability assets and liabilities
不利な要因・足かせ liability become a liability

まとめ

「義務」を表す duty・obligation・liability は、同じ意味の単語を強さで使い分けるものではありません。

特に liability は、一般的な「義務」というより法的・金銭的な責任を表す別の軸の言葉です。

  • duty = 立場・職業・道徳などから「自分が果たすべき務め」
  • obligation = 法律・契約・約束などによって「しなければならないこと」
  • liability = 損害・債務などについて「法的・金銭的に負う責任」

duty = 役割として果たすべきこと
obligation = 拘束されて負っている義務
liability = 問題や債務について負う法的・金銭的責任

たとえば会社が顧客データを扱う場合、

Employees have a duty to handle customer data responsibly.
= 従業員という立場上、適切に扱う務めがある

The company has a legal obligation to protect customer data.
= 法律によってデータを保護する義務がある

The company may face liability if the data is leaked.
= データ流出が起きれば、会社が法的・金銭的責任を負う可能性がある

という違いになります。

特に、

obligation → 何をしなければならないか
liability → 問題が起きた結果、何について責任を負うか

という区別は、契約・ビジネス・法律の英語を読むうえで非常に重要です。

日本語の「義務」を見たら、

「役割としてするべきことなのか」「法律や契約で拘束されているのか」「損害や債務に対する責任なのか」

を考えてみましょう。

この違いがわかると、duty・obligation・liability をかなり自然に使い分けられるようになります。

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